安眠島ラバンハウスは庭園管理だけで「客室20室分より大変」だと運営者は言う。それでも静かな余裕を求める30代カップルに絞り、大人数予約を断る。島の喧騒と逆を行く戦略で7年続く理由。

施設タイプ: ペンション
住所: 忠清南道 泰安郡 安眠邑 海岸観光路 276-96
客室タイプ: カップルルーム、ジャグジー・スパルーム、ファミリールーム(オンドル/独立棟)
付帯施設: 無料ブランチ、カフェ ラバン、室内外スペシャルBBQ、ホテル級寝具、記念日イベントなど
周辺観光地: コッチ海水浴場、パッケ海水浴場、安眠島光祭り、安眠島自然休養林&樹木園、安眠岩など

Q こんにちは。施設と自己紹介をお願いします。
こんにちは、安眠島ラバンハウス運営者のクォン・ソンミです。運営を始めて今年で7年目を迎えました。2005年からご年配の方が経営されていた物件を、体力的に厳しくなって手放されたところを2013年に私たちが引き継ぎ、リノベーション後に再スタートしました。ラバンハウスはカップルルーム6室とファミリールーム3室、計9室で構成されており、全3棟の規模——1棟に6室、もう1棟に2室、そして独立棟という配置です。
私たちのモットーは「のんびり休暇を過ごせる宿」。そのため独立棟は5名まで、他の客室も少人数のみ受け入れています。団体予約や複数室の同時予約は不可。というのも、ラバンハウスの客室はほとんどが隣接しているので、大人数が一緒に来ると騒音問題が深刻になるんです。私自身、旅行するときに騒がしい雰囲気は好きじゃないので、こういう静かな宿を目指すようになりました。おかげでお客様の大半は30代以上のカップル。安眠島は大家族やワークショップ、若い団体旅行が多い場所ですが、ある意味その隙間で「静かに余裕を楽しみたい層」にターゲットを絞り、ニッチ市場をうまく見つけられたんだと思います。
Q ラバンハウスはどうして安眠島に?
私はもともとコンピュータ工学専攻で、ソウルでシステムプログラミング関連の仕事を13年ほどやっていました。IT業界特有の頻繁な残業や徹夜で心身ともに疲弊していた頃、「頭を使わず、体を動かす仕事をやってみようか」と思っていたんです。そんなとき夫が突然「ペンションをやってみたい」と言い出して、会社を辞めて2〜3ヶ月ほど物件探しに回りました。
もともとは江原道のボンピョンやピョンチャン辺りを考えていたんですが、ある不動産屋から「安眠島に素敵な物件が出たから来てみて」と連絡があったんです。それでラバンハウスを初めて見た瞬間、すごく気に入って。「ここが私の場所だ」と直感しました。実はすでに江原道の別のペンションに仮契約していたんですけど、ここを見た瞬間にその契約をキャンセルして、その場で即決しました。
大学生のころから会社員時代も、毎年秋になると友達と安眠島に旅行でよく来ていたんです。だから縁はなかったけど、いつも遊びに来ていた馴染みの場所という感覚があって、躊躇なく一瞬で契約できたんだと思います。無謀といえば無謀ですが、計画にもなかった安眠島に根を下ろしたわけです。最初の3ヶ月は知り合いもいなくて、夫と私ふたりだけで顔を見合わせる毎日でしたよ(笑)。
Q エキゾチックな庭園が美しいことで有名ですよね! オーナーならではの庭園管理法や、運営のメリット・デメリット、大変な点などを教えてください。
この場所を決めた理由も庭園のおかげです。都会に住んでいると誰もが憧れるじゃないですか、庭のある家で犬を飼いながら暮らしたいって。でも実際に管理してみたら、ものすごく大変で。少しでも手を抜くと草が生え、木もボサボサになって、四季を通じて気を抜ける時期がないんです。それでもお客様が喜んでくださるから、やめられないんですけどね(笑)。夏になると2週間に一度は芝刈りが必要で、一回やるだけで数時間かかり、一日中庭にかかりっきり。最初は「庭が小さいからすぐ終わるだろう」と草刈り機を使っていたんですが、諦めて結局芝刈り機も購入しました。除草や害虫対策も頻繁にやりますし、農薬も撒くし、乾燥すれば水やり、育たなければ肥料も……。普通この規模の庭園なら業者を呼ぶべきらしいんですが、ここは島なので人を呼ぶのも難しく、自分でやり始めたんです。
最初は何も分からずバッサリ切りすぎることもありましたが(笑)、試行錯誤を重ねてノウハウも増えて腕も上がりました。今では周囲に「除草にはこの薬剤がいいよ」「芝刈りにはこの機械がおすすめ」とアドバイスできるレベルになりましたね。もし再び別のペンションを運営するなら、庭のない場所にします(笑)。客室20室を掃除するより庭管理の方がきついくらいですから。それでも庭があるおかげで視界も開けるし、いつも音楽を流しているので、屋外デッキでBBQをするときもお客様にすごく喜ばれます。

Q ラバンハウスは客室ごとにインテリアが異なり、天井も高くて広々としていますが、一番自慢したいスペースは?
客室インテリアは前オーナーがすでに全部違うデザインにしていたものを、私たちが少しずつ手直ししました。その方は建築経験が豊富で、ラバンハウスが9軒目だったのでセンスがあり、きれいに作ってくださったんだと思います。普通の住宅は天井が低いので、お客様が来られると高い天井を喜ばれます。冷暖房は少し大変ですが、満足度は高いですね。
私が一番自慢したいスペースは、第一に庭園、第二にカフェスペースです。客室も良いですが、この2つをお客様が最も喜んでくださるんです。特にカフェ・ラバンは、もともと私たちのリビングだったんですが、広いスペースが不要だったのでお客様に開放しました。自由にコーヒーを飲んだり、窓際の席に座って外を眺めながら読書したり音楽を聴いたり。普通ペンションは到着してカギを受け取り、チェックイン後に遊んで翌日カギを返して終わりですよね。でも私たちはカフェのおかげで、朝食やお茶を飲みに来られたお客様とひと言ふた言会話ができ、滞在体験をお聞きしたり旅行情報をお伝えしたりと、コミュニケーションの場が生まれました。交流も多く、お客様と友達のように気軽に話せる雰囲気ができたんです。おかげでリピート率も高いです。一度良い体験をされた方が、他の方に紹介してくださることが多いので。そうしてご紹介で来られた方にはさらに少し割引もしています(笑)。
Q 自家製ブランチ、干潟体験、カフェ、ピックアップ&送迎、ボードゲームレンタルなど、すべて無料提供されていますね!
ブランチは宿オープン当初から無料提供していました。最初は韓定食ビュッフェスタイルでしたが、夏の繁忙期は運営が大変すぎてブランチに変更しました。それでも、よくある食パンとコーヒー/ジュースだけというのは嫌だったんです。私も旅行で朝食付きという宿に行ってトースターと食パンが置いてあるだけだと、誠意がないように感じていたので。最初はセルフ運営も試しましたが、どうせその時間に他のことができないなら、私が直接お出しすればお客様ももっとおもてなしされている気分になるし、私も気が楽だと思い、今のブランチ提供が誕生しました。私は朝食を必ず食べるタイプなので、準備がそれほど大変ではないんです。欲を言えば、ブランチの質を維持したいがために客室に多くのお客様を受け入れられないこと。人数が多すぎると質が落ちるので、私が心を込められる適量だけにしています。
干潟体験は、鍬とカゴを用意してお客様が自由に利用できるようにしています。宿から5分歩けばパッケ海水浴場で、干潟体験に最適な環境なんです。だから干潮時間に合わせて体験していただくと、すごくたくさん貝を採ってこられます。採った貝はすぐには食べられないので、私たちがアイスボックスを用意して砂抜きして持ち帰れるようにしているんですが、お客様が真水を入れて貝を死なせてしまうので、塩を入れて砂抜きする必要があると説明しています(笑)。せっかく頑張って採ったのに捨てて帰るのはもったいないですからね。その他にもお客様のお役に立てそうなことをひとつずつ見つけて、ボードゲームやピックアップ・送迎などを始められました。



Q BBQサービスで、テーブルセッティングから後片付けまでオールインワンで提供される特別な理由は?
「自分が旅行するときにこんなサービスがあったらいいな」と思ったことを今やっているだけです。旅行は手ぶらで行きたいし、朝食も出してほしいし、ペンションなんだから肉は焼いて食べたいけど自分で準備するのは嫌じゃないですか。だから始めたサービスが、週末のお客様の半分以上が申し込むほど人気なんです。手間がものすごくかかる作業なので、お客様が到着する前から何時間も準備して、テーブルセッティングからBBQセットアップまですぐに食事できるようにしています。
肉はお客様ご自身で焼いていただきますが、私たちがご飯、チゲ、サンチュ類、お酒まで全て提供するので満足度が高いんです。また、このサービスを利用される方は客室キッチンを使わないので、翌日の客室もきれいで清掃時間が短縮されるというメリットもあります。
実は最近、安眠島にもBBQ提供の宿が増えましたが、収益の問題で輸入肉とキムチ程度しか提供しない、形だけのBBQも多いんですよ。私もお金のことを考えると時々揺らぐこともあります。でも基本的な考え方はいつも「相手の立場に立つ」こと。自分がどこかに遊びに行って輸入肉を出されたら、あまり良い気分じゃないですから。そのためコストはほとんど残らないんですが、大変でもサービスの一環として、平日に1組だけ来られてもお出ししています。1人のお客様のために2時間以上テーブルセッティングを準備するのは当然大変です。でも提供した後の反応が嬉しいですし、お客様が帰って周囲に良い口コミを伝えてくださるのが私たちのマーケティングになると思っているので、いつも初心を忘れないよう努力しています。
Q 記念日イベント、ホームブルーイング自家製ビール提供など、ラバンハウスならではのイベントとSNS運営のコツを教えてください〜
最初は宿の広告といえばキーワード広告しか知らなかったんです。コンピュータ専攻者がマーケティングなんて分かるわけないですよね(笑)。それからブログの存在を知って一生懸命運営し始め、今でも一番効果があるのはブログです。やはりみんなNaverを見るので、検索流入が一番良いんです。最近はInstagramも頑張っています。すぐに予約が入らないからと1週間だけSNSを集中的にやっても広報効果は現れませんよね。日常生活のように、1日に投稿を1つアップしないと宿題をやってない感覚になるくらい、粘り強く継続してアップロードするのがコツです。長年積み上げてきたSNS上の自分のイメージや宿のプロフィールの雰囲気は、一朝一夕には作れません。だから気長に構えて誠実に運営すれば効果が出ますよ。
記念日イベントは、プロポーズのような特別な日にご予約されると、風船やハート型キャンドルなどで客室を飾るサービスです。特に50代後半のご主人が結婚記念日に合わせて風船イベントを申し込まれたのが印象的でしたね。奥様が風船を見た瞬間、「一生こんなものは一度ももらえないと思っていた」と泣かれたんです。若い方なら機会や情報も多いですが、年配の方はこういうイベントをやりたくてもどこでどうすればいいか分からず苦労されるじゃないですか。でも私たちの宿は訪問年齢層が高めで、旅行ついでにサービスを申し込まれ、準備したことに感動してくださるので、すごく嬉しくてやりがいを感じました。
また、この地域は平日暇で退屈だったころ、自家製ビールを習い始めたんです。もともとビールが大好きなのもありますし、「20年以上ビールを飲んできたのに、一度は作ってみないと」という思いでした。それから人々に自家製ビールをもっと知ってもらいたくて、SNSイベントとしてホームブルーイング自家製ビールを提供するようになりました。作るビール量は全員にお出しするには限られているので、今はBBQセットに基本1杯ずつ含まれ、SNSでラバンハウスを広報してくださると1杯提供しています。
ビールの発酵温度を合わせるために客室をほぼ一室空けていますし、作るのに4〜5時間、完成まで1ヶ月以上かかるので、苦労して作ったものを渡すのはもったいなくないかと聞かれます。でも自家製ビールがもっと知られれば、他のチャンスも生まれるでしょう? 収益だけで考えればマイナスかもしれませんが、長い目で見れば後で良い形で返ってくると思います。



Q ラバンハウスの最終目標は何ですか?
今はラバンハウスがペンションとしてのみ限定されて、快適に旅行できる環境提供を目標に運営してきましたが、今後はここで楽しく遊べる体験のオープンも検討しています。自家製ビールのワンデイクラスのように、昼間はビールを作り、夕方はBBQしながら自分で作ったビールを飲むパッケージを考えてみました。「ビアステイ」って名前も付けてあるので、繁忙期が過ぎたらやってみようかなと(笑)。
また、今ここは一戸建て住宅なのでビール販売許可が下りないんですが、別の場所で一般飲食店許可を取って規模を広げてみようかと考えています。自家製ビールを提供するとき、多くの方が関心も高く興味津々なんですが、意外と接したことがない方も結構いらっしゃるんですよ。ビールをお出しすると「自家製ビールってこんな味なんだ」と珍しくてすごく美味しいと言われ、買って帰れないかと聞かれることも多いんです。だから自家製ビール販売と体験が一緒にできる空間を構想してみようと思っています。
Q ONDAサービスをどのように知り、使ってみていかがでしたか?
近所のペンションで、私が過去IT業界にいたことを知っていて、「ONDAというところから連絡が来たんだけど、どういう会社か分からないから使っても大丈夫か見てほしい」と頼まれたんです。それでホームページを見たら代表に後輩の名前があって(笑)まず驚き、システムインターフェースがすっきりしてきれいで2度目に驚きました。既存のシステムとは違う感じがして「良さそうだ」と伝え、私が先に使ってしまったんです。実際にONDA Plusを使ってみたら、無駄がないんです。昔から色々な予約管理システムを使ってきましたが、各社が長年サービス開発してきた分、複雑なだけで不要な機能も多かったんですよ。でもONDAは基本プログラムとしてすっきりしています。
また、今は私たち二人で運営するのにちょうど良いんですが、宿の規模がもっと小さいと売上に直結して厳しいし、もし人を雇って運営するには客室がもっと多くないといけないので、どうしても私たちが全てやるしかないんです。だから特に予約管理にすごく気を使うんですが、ONDAがとても助けてくれます。連泊を受ける部屋を事前に閉じておいたり、電話問い合わせが来たら客室を調整してシステムに登録したり。もしこれをやらずに放置すると、一度に全客室を清掃しなきゃいけない時が出てきて慌てますから。そういう時は朝早く来られるお客様にチェックイン時間を伺って清掃順序を決めるなど、いつも全予約を徹底的に管理しています。
Q 最後に、宿周辺の隠れた見どころや、おすすめのグルメを教えてください!
安眠島というと、みんなケグクジ(カニ汁)、刺身、ワタリガニしか思い浮かべないんですが、もう定番すぎますよね(笑)。だから他に食べる価値があるものを挙げるなら「安眠島 ご飯物語」という店です。石焼ご飯定食がメインメニューで、1人1トレーの個人膳を提供し、リーズナブルな価格で家庭的な雰囲気です。オープンして半年ですが、きれいで美味しいので軽く食事するのに最高。今では行列ができる人気店になりました。
見どころは、ここが西海なので夕日が有名です。特にコッチ海水浴場は夕焼けがきれいで、冬には夕日祭りが開催されます。朝鮮時代から宮中で使われた松が、安眠島にしか自生しない「安眠松」で、外部持ち出し不可なんですが、この松がたくさんある安眠休養林も散歩好きな方には人気です。パッケ海水浴場の隣にも松林が静かに散策路として伸びていて、レジャーシート1枚持って出かけるだけで天国ですよ。
最後に安眠島ソルヒャンギル(松香道)とノウルギル(夕日の道)。済州島オルレキルのように、ここも泰安の端から安眠島の端まで海辺トレッキングコースが14個ほどあるんです。パッケからコッチまで歩くと1時間半ほどで、海辺と丘を経由して夕日を見られます。コッチ海水浴場も車で5分の距離なので、私たちがピックアップサービスもしています。
