宿泊業で賃金未払いはいつ発生するのか?
チェ・チャンギュン社労士の宿泊業労務Q&A
03. 宿泊業で賃金未払いはいつ発生するのか?
宿泊業労務Q&A 第3弾
執筆:チェ・チャンギュン社労士
編集:ONDA イ・チェウン マネージャー
労務法人ソチョは宿泊業の労務管理で最高の専門性を持つ会社で、 現在、多数の宿泊施設の労務管理、宿泊業フランチャイズ本社研修(ヤノルジャ、ヨギオッテ)など 宿泊業関係者の幸せな職場づくりに貢献しています。
幸せな職場が幸せな人生を作るという信念のもと、 かけがえのない職場を共に育てる人々に 労務管理に必要不可欠な情報を提供するため、本連載をスタートさせました。
宿泊施設を運営していたり、宿泊業に従事していると、賃金未払いや退職金未払いなどの理由で労働局を訪れるケースを周囲でよく見かけるでしょう。
**労働基準法第36条(金品清算)**では、「使用者は労働者が死亡または退職した場合、その支給事由が発生した時から14日以内に賃金、補償金、その他すべての金品を支給しなければならない。ただし、特別な事情がある場合は、当事者間の合意により期日を延長できる」と規定しており、この条項に違反した場合、**同法第109条(罰則)**で「3年以下の懲役または3千万ウォン以下の罰金に処する」と規定しています。
これにより、労働者が退職後14日以内に「賃金、退職金など支給すべき金品」を支給しない場合、刑事処罰の対象となるため、事業場を管轄する労働局が捜査を進めることになります。労務分野では事業場を管轄する労働局が警察署と同じ役割を果たし、管轄労働局内の労働監督官が労働法上の警察官としての役割を担うからです。
では、宿泊施設運営中に賃金未払いや退職金未払いなどの問題が発生するケースにはどのようなものがあるでしょうか?
1. どんな場合に労働局から捜査を受けるのか?
労働局が事業主を対象に捜査を進めるケースは大きく1)労働者が事業場管轄の労働局に陳情または告訴を提起した場合、そして2)事業場労働監督を通じて法違反の事実が発見された場合に分けられます。
1) 労働者が事業場管轄の労働局に陳情または告訴を提起した場合
ここで**「陳情」とは、労働局の行政力を通じて労働監督官が金品未支給などの法違反事実について捜査し、違反事実が確認されれば事業主が労働者に未払いの金品を支給するよう是正指示する制度を意味します。ほぼ同じ手続きで進められますが、最初から使用者の処罰を望む「告訴」**とは違いがあります。
また、最も簡便な部類に属するため、大半の紛争手続きがこれに該当します。
2) 事業場労働監督を通じて法違反の事実が発見された場合
国税庁が不特定の事業者を対象に税務調査を行うように、雇用労働部でも毎年定期または随時に労働監督を通じて労働法違反事業場を確認します。この時、労働監督対象に選定されると、一般的に3年間勤務して退職した全員に対する監督を実施し、未払い金品がある場合は清算するよう是正指示をします。
ただし、上記の経路で捜査を受けることになっても、労働基準法第36条により金品清算違反事項について労働者の意思に反して処罰されることはありません。つまり、労働者が告訴を取り下げたり、処罰を望まない意思を表明した場合、未払い事実が確認されても刑事処罰を受けません。
2. 最低賃金違反はどんな場合に発生するか?
宿泊業では最低賃金紛争が最も多く発生しますが、休憩時間を付与したか否かによって、月給に含まれる労働時間が変わるためです。
たとえば1日1時間の休憩時間を付与しなかった場合、その時間分の時給と延長・夜間労働に対する加算手当を月間勤務日数分未払いしたことになるため、月給では大きな差が出ることになります。
**最低賃金法第6条(最低賃金の効力)**によると、「使用者は最低賃金の適用を受ける労働者に最低賃金額以上の賃金を支給しなければならず」、「最低賃金の適用を受ける労働者と使用者の間で最低賃金額に満たない金額を賃金として定めた部分は無効とし、この場合無効となった部分はこの法律で定めた最低賃金額と同一の賃金を支給することにしたものとみなす」と規定しています。
上記の規定により、最低賃金に満たない賃金を支給した場合、「最低賃金で再計算した賃金と以前に支給した賃金の差額」を労働者に支給しなければなりません。
では、最低賃金違反の有無はどう判断するのでしょうか?「時給制労働者」は時給が最低賃金に満たないかだけを確認すればよいですが、「月給制労働者」なら月給に含まれる労働時間を基準に逆算して判断する必要があります。この時、労働時間を把握できる最も重要な資料が労働契約書です。
したがって、宿泊業で最低賃金違反事例が発生すると、事件を担当する労働監督官は1) 労働契約書があるか、2) 労働契約書と実際の勤務形態が一致するかを重点的に捜査するため、労働契約書を明確に作成することが重要です。
(労働契約書作成時に必ず確認すべき事項は前回の記事を参照してください。)
3. 延長・夜間・休日労働手当の未払いはどんな場合に発生するか?
宿泊業の特性上、延長労働や夜間労働がやむを得ず発生する場合が多いのですが、もし労働契約書や毎月労働者に交付する給与明細書に延長労働および夜間労働手当と時間が記載されていなければ、時間外労働手当を未払いしたことになる可能性があります。
**労働基準法第56条(延長・夜間および休日労働)**によると、「使用者は延長労働(1日8時間、1週40時間を超える労働)、休日労働(法定休日および週休日)、夜間労働(夜10時から翌日午前6時の間の労働)に対しては通常賃金の1.5倍を加算して支給」しなければなりません。
ただし、常時労働者数が5人未満の事業場では加算賃金に関する規定が適用されません。
4. 週休手当未払いはいつ発生するか?
**労働基準法第55条(休日)**によると、「使用者は労働者に1週に平均1回以上の有給休日を保障しなければならない」と規定しており、ここで付与する有給休日に対して支給する手当を「週休手当」と呼びます(4週間平均して1週15時間以上労働した者が対象)。
週休手当は「1回」支給することになっているため、短時間労働者を除いては1日の法定労働時間である8時間を基準に支給するのが原則です。
時給制労働者の場合、週休手当を未払いしたか判断するのは非常に簡単です。労働契約書上に明示された時給以外に別途の手当を支給したか、その金額が週休手当時間に該当するかだけを確認すればよいのです。
では、月給制の場合はどうでしょうか?月給制労働者は週休手当未払いが発生しません。その理由は、支給する月給のうち基本給内にすでに週休手当を含めて時給を計算しているためです。
ただし、週休手当分の時間を含めて計算した月給総額が最低賃金で計算した金額に満たない場合、その差額分は未払いが発生します。
5. 退職金未払いはいつ発生するか?
勤労者退職給与保障法により、使用者は4週間平均して1週間の所定労働時間が15時間以上で、継続勤務期間1年以上の労働者に対して退職給与、すなわち退職金を支給しなければなりません。
退職金は退職年金で支給する場合と退職一時金で支給する場合に分かれますが、退職年金の場合、運用形態(DC型、DB型)と規約により定められた払込金額を払い込まなかったり、遅く払い込む場合に遅延利息の問題が発生します。

特に宿泊業では退職一時金で支給する場合に退職金紛争が多く発生します。退職一時金を計算する基準は**「(3ヶ月間の賃金総額 / その期間の日数) × 30日 × 継続勤務期間/365日」**ですが、
_宿泊業は休憩時間を労働時間と主張する事例が多く発生するため、_この場合、上記の算式で「3ヶ月間の賃金総額」が最低賃金基準で再計算した時給に置き換えられます。1日平均賃金が変更されれば支給すべき退職金額も大きく差が出る可能性があり、この場合、退職金を支給していても退職金差額に対する未払いが発生する可能性があります。
6. 年次未使用手当未払いはいつ発生するか?
**労働基準法第60条(年次有給休暇)**によると、使用者は1年未満勤務した者に対して1ヶ月皆勤時に1日の有給休暇を、1年間80パーセント以上勤務した者に対して年間15日の有給休暇を与えなければなりません。
上記の規定で確認できるように、年次休暇は**「有給」**で付与しなければなりません。したがって、労働者が年次休暇を使用したなら月給から控除しない限り月給に含めて有給で年次手当を支給したことになりますが、もし使用できなかった場合は手当を受け取れなかったことになるため、手当で代替して清算してあげる必要があります。
また、1年以上勤務した労働者が年次休暇を使用せずに退社する場合、1年間発生した11日の休暇と1年を満たした瞬間に発生した15日の休暇を合わせて計26日の年次未使用手当が発生することになります。
このような年次有給休暇は常時労働者数5人以上の事業場に適用され、4週間平均して1週労働時間が15時間以上の者にのみ適用されます。
このように最低賃金、延長・夜間・休日労働手当、週休手当、退職金、年次未使用手当など、宿泊業でよく起きる金品未払いがどんな状況で発生しうるか見てきました。前述したように、労働監督を通じて違反事実が明らかになったり、労働者が労働局に陳情または告訴を提起するなど紛争に繋がる可能性があるため、これを防止するには事前に綿密に確認されることをお勧めします。
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