2人用ゲームを選ぶとき、多くの人が「心理戦ができるもの」を求める。だが心理戦・推理・推論という似た用語が混在し、何を置くべきか迷う。ボードゲームカフェ運営者が、宿泊施設に置くべきゲームの選び方を整理する。
03. 2人用:心理戦
Writer アーガーゲームズ アン・ミヌ 代表
Editor ONDA ソ・モラ マネージャー
Photo ユ・ファガラン&Studio Sio


マガジンON読者の皆さん、こんにちは!アーガーゲームズ代表のアン・ミヌです。冬の寒さが徐々に和らぐ季節、春が来ましたね!アーガーゲームズは、作業室兼ボードゲームカフェとして運営している私たちのスペース「D.Analog(ディアナログ)」をより広く知ってもらうと同時に、私たちが追求する価値を伝えられるプロジェクトを進行中です。そのため忙しく慌ただしい毎日ですが、文章を書く時間はいつも幸せです。
その気持ちを込めて、今回は宿泊施設に置くのにぴったりな2人用心理戦ゲームをいくつかご紹介したいと思います。施設に置くこととは別に、近くのボードゲームカフェで知人と試してみるのもいいかもしれませんね。🙂
心理戦ゲームの特徴
前回扱った「抽象戦略」は2人用に特化したジャンルですが、今日ご紹介する**「心理戦」ジャンルは、この抽象戦略よりも実際のお客様が最も多く求めるジャンルです。漫画『名探偵コナン』、ドラマ『シャーロック』、ボードゲーム『クルー(The Clue)』などの影響でしょうか。とりわけ「心理戦」ができるゲームや「推理」ゲームを求める方が本当に多いのです。この時、たいていは「推論」(Deduction)**ゲームをお出しすると反応が良いのですが…。重要なのは、すでに私たちから用語が混乱し始めているということです。
心理戦 – 推論 – 推理。この3つの言葉は意味が似通っていて、その意味自体も幅広いからです。そこで個人的な基準ではありますが、今後のスムーズな説明のために、より明確に用語を整理してみました。読者の皆さんと私の精神的健康を守ると同時に、心理戦ジャンルの意味をしっかり伝えるために悪戦苦闘した痕跡をご覧ください。🙂
01.
まず、**「心理戦」**は最も広い範囲を指す言葉で、相手と自分が最終的にアクションを起こす前に、頭の中で繰り広げられる激しい攻防戦を意味します。ボードゲームだけでなく、他者と競うゲームであれば必然的に存在する心理戦は、人生やスポーツにもある基本的な競争行為そのものです。このように本用語はかなり包括的な概念を持ちますが、私は露骨に心理戦に大きな比重を置くゲームを、一つのジャンルとして定義します。
それゆえ「心理戦」ジャンルのボードゲームは、相手を知れば知るほど戦略を立てやすくなります。さらに相手が自分をどう考えているかを把握すれば、攻守が完璧になるでしょう。プレイヤーのターンが進むごとに情報が順次公開され、それに応じた選択肢が提供されるのですが、その度に相手の反応を観察しながら、相手が隠している手札や戦略を読み解くのが、このジャンルの醍醐味でありコツです。
02.
**「推理」**の辞書的定義は、既知のことを基に未知のことを推し量って考えることで、演繹的・帰納的思考をすべて含む大分類です。しかし、私たちが推理を一つの「ジャンル」として認識する時は、物語の中の手がかりやトリックを見つけ出し、矛盾を見抜いて事実を立証することに近いですね。推理ジャンルのゲームはストーリーベースでプレイが進行する以上、当然ながら一度プレイしたらもうできなくなるレガシー(Legacy)的特徴を持つべきだと考えます。最近日本語化で発売された『ワトソン&ホームズ』が、真の推理ゲームの例と言えるでしょう。
03.
辞書的には「推理」と同義語である**「推論」**は、演繹的・帰納的思考を基にある情報を類推することを意味します。この能力は戦略的選択の基盤としてすべてのゲームで使われますが、「推論」ジャンルに属するゲームでは、推論の結果そのものがゲームの勝利目的になります。(『クルー』、『PIなど)
多くのゲームがこの3つの要素を巧みに混ぜていますが、この中でどの色彩が濃いかによって各ジャンルにゲームを分類できます。もちろんこれはかなり主観的にならざるを得ません。そのため、私が上記3つのジャンルに属するゲームをお勧めする際は、お客様に希望ジャンルを尋ねるのではなく、以前プレイしたゲームの中でどのゲームが気に入ったかを先に聞きます。そしてその答えを上記の基準に当てはめた後、適切な種類のボードゲームをお勧めしています。
もしお客様がこれといったボードゲームをプレイしたことがない場合、2人用を除いては、最も実質的な枠組みを持つ推論ゲームをお勧めするのが無難です。推論ジャンルは好き嫌いの幅が少なく、ほとんどの方が好まれますが、2人用としてお勧めするには弱いのです。2人用として適さない理由は、推論ジャンルのゲーム進行を見れば分かります。推論ゲームは人数が多いほど情報をより分け合い、各プレイヤーごとに戦略が加味されることでゲームがより多彩になるからです。
そこで今日は、2人用ゲーム推薦として推論よりは心理戦ジャンルを選んでご紹介することにしました。実はこのジャンルはプレイヤーの相互関係によってゲームを楽しむ度合いが異なりますが、2人でどこかを訪れるほどなら、当然お互いに気の合う人たちでしょう?🙂
1. ダヴィンチ・コード (Da Vinci Code The Game)
01_ゲーム紹介
ボードゲーム**「ダヴィンチ・コード」**は、数字が書かれたタイルを分け合い、他人のタイルに書かれた数字を見ずに当てるゲームです。そのため、ほとんどの人がこのゲームを「推論」ジャンルに分類します。自分のターンにできることが推論しかないからです。しかし、私はこのゲームを心理戦ゲームの最初の一作として活用します。ルールが難しくないのですぐにゲームを把握でき、残りの場合の数を数えることも全く難しくないからです。結局、推論能力と同じくらい心理戦の比重が大きくなります。しかも他のプレイヤーがいなく2人でプレイする時は、その心理戦の色彩がさらに濃くなるのです。
実際のプレイヤーのフィードバックもダヴィンチ・コードを心理戦と認識する方が大多数です。ボードゲームをよく知る熟練者ほどなおさらです。お客様には気軽に楽しめる優れた前菜ゲームとして、私にはボードゲームの基本である推論方法をお教えできて良いです。また2〜4人用で最大4人までプレイできるので、強く推薦できる1番打者ゲームです。
02_ダヴィンチ・コード プレイルール説明
ダヴィンチ・コードは白色と黒色それぞれ13枚のタイルで構成されます。色別に0〜11までの数字、およびハイフン(-)記号が表示されたジョーカーがあります。ゲーム開始時には26枚のすべてのタイルを数字が見えないように裏返して混ぜます。次に2人でプレイする時はタイルを各4枚ずつ、3〜4人でプレイする時は各3枚ずつ取ります。自分の前に取ったタイルを相手に見えないように一列に立てて手札を作ります。タイルを立てる順序は数字の小さい順に左から並べるのですが、この時もし自分が引いた黒色と白色のタイルが同じ数字なら、黒色をより小さい数字と見なしますが、ジョーカー(-)はどこにでも置けます。
自分のターンが始まったら中央からタイル1枚を引いて、自分の前に自分だけ見えるように立てます。本来は引いたタイルをすぐに順番通りに自分のタイルと合わせて配列するのがルールですが、私は少し前に引き出しておくことをお勧めします。後でゲームに集中していると、自分が何を引いたか忘れることもあるからです。そしてこの情報を基に、必ず相手の手札に書かれた数字を1つ以上当てなければなりません。
もし正解したら、該当タイルは数字が見えるように倒されます。そして自分が引いたばかりのタイルをそのまま自分のタイルと合わせて数字順に配列するか、もう一度相手の手札を当てる機会が与えられます。どちらか一つを選べばいいのです。しかし外れたら、この選択権なしに自分が引いたタイルを相手に見えるように倒さなければなりません。単に数字だけ公開されるのではなく、その数字の位置まで知られることで、手札の輪郭が徐々に明らかになるのです。
ゲーム進行に従って情報が公開されるため、最初は当てずっぽうで数字を言いますが、手札が一つ二つ公開され始めてからは数字を推論できるようになります。そうやって攻防を続けながら、相手のすべての手札を当てた瞬間、ゲームは終了します。その前に自分のタイルがすべて倒れたら、ゲームに敗北します。
03_ゲームプレイ戦略
ダヴィンチ・コードの戦略は、まず**「推論」**という基本技を理解することが重要です。全体情報の中で自分が知っている情報を基に合理的な類推をすればいいのです。つまり、自分の手札は絶対に相手が持つことができず、相手も数字の大きさ順にタイルを並べているはずなので、これを利用するのです。
あ、それとジョーカーをうまく使うことが非常に重要です。ジョーカータイルはどの位置にも置けるうえ、相手がジョーカーを当てるには数字ではなくジョーカーと正確に言わなければならないので、かなり良いタイルなのです。たとえゲーム途中で引いて外れて公開されても、相手に自分の数字タイルの位置情報を与えないので欠点がありません。
04_ビジュアル
ダヴィンチ・コードはシンプルなゲームなだけに、ビジュアルも白色と黒色2色のモノトーンで単純です。素材がプラスチックではなく天然木だったらもっと良かったのですが、それほど安っぽい材質ではないので満足しています。個人的にドイツ語版が最もフォントが美しいと思います。


気軽に楽しめる優れた前菜ゲーム「ダヴィンチ・コード(Da Vinci Code The Game)」
2. ゴースト (Good & Bad Ghosts)
01_ゲーム紹介
ドイツ語で**「ガイスト」とも呼ばれる2人用ボードゲーム「ゴースト」**は、2人用のダヴィンチ・コードと同じ心理戦が好きなら挑戦してみるといいでしょう。ただし、情報を少なく与えられるタイルを引くほど有利になる、運がゲームに影響を与えるダヴィンチ・コードとは異なり、ゴーストは抽象戦略ボードゲームであるチェスに似た方式でゲームが進行するため、運による要素より心理戦要素がより強いです。
02_ゴースト プレイルール説明
ゴーストには良い幽霊(青色)と悪い幽霊(赤色)2種類のコマが各8個ずつあります。プレイヤーはそれぞれ青色の幽霊4個、赤色の幽霊4個を持って始めるのですが、この幽霊はお互いに色が見えないように、色表示がされた部分を自分側に向けて配置します。
自分のターンには幽霊を横または縦に1マス移動できますが、斜めには移動できません。移動しようとする位置に自分の幽霊がいれば当然移動できませんが、もし相手の幽霊がいれば、自分の幽霊でその幽霊を食べます。食べた幽霊は自分の前に持ってくるので、その幽霊の色も確認できますね。
基本的な勝利条件は簡単です。自分の青色の幽霊をたった1個でも反対側の出口(相手の両隅)へ出せば勝ちです。ただし上記の移動ルールのため、もう一つの勝利条件が登場します。それは自分の幽霊が相手の青色の幽霊をすべて食べても勝てるということです。相手は自分側の出口へ出す青色の幽霊がなくなるからです。とても簡単でしょう?
それでは一体赤い幽霊はどこに使うのか疑問ですが、この子がまさに激しい心理戦を誘発する装置です。もし相手の攻撃で自分の赤い幽霊がすべて取られてもゲームに勝てるのです。もし わざと相手を利用して、相手が自分の赤い幽霊すべてを食べるよう誘導すれば、自分の勝利で終わるのです。
03_ゲームプレイ戦略
そのため、このゴーストのプレイ戦略の方向性はかなり奥深くなります。冒頭で述べた戦略を最大限駆使しなければなりません。自分が相手のコマを取った時や、自分のコマを移動する時など…。選択肢が新たに発生する時点ごとに変わる相手の行動と言葉、表情を通して相手の戦略を読み取り、心理戦を主導しなければなりません。相手の心理把握とポーカーフェイス以外は何も重要ではないのです。そのためか、私のボードゲームスペースでも、とりわけゴーストは賭け用としてプレイする比率が高いようです。一方から「もう一回!」を叫ぶチームも多いですし。
04_ビジュアル
そんな激しい心理攻防戦が繰り広げられるゲームですが、幽霊はかなり可愛いです。特に幽霊のみぞおちに刺さっている色表示は、一度は絶対抜きたくなるように作られています。この幽霊をトンガリコーンのように指に嵌めてみたいのですが、その色表示の奴が真ん中を塞いでいるので指に入れようとしても入らないのです。可愛いビジュアルと簡単なルールのおかげで子供にも人気が高いですが、大人にさらにお勧めしたいゲームです。


運による要素より心理戦要素がより強い「ゴースト(Good & Bad Ghosts)」
3. ドゥ イート(Do Eat)
01_ゲーム紹介
「ドゥ イート」は、韓国のボードゲーム作家と イラスト作家がコラボして発売した心理ゲームです。5分以内に学んで10分間プレイできるというゲーム説明通り、簡単でシンプルな2人用ゲームです。私が持っているバージョンは作家自ら制作されたインディーゲーム版ですが、このバージョン以外に「ボードM」という韓国の大手ボードゲーム会社から正式出版されたので、入手は全く難しくないと思います。ゲーム説明では短い単語の便宜上、スペースを省いたドゥイットと表記します。
02_ドゥイット プレイルール説明(正式出版版基準)
ドゥイットは、タヌキとキツネが描かれたゲームカード10枚と先プレイヤーを決めるFirst Playerカード1枚、食べ物が描かれたトークン3個とラウンドトークン5個で構成されています。自分のキャラクター(キツネまたはタヌキ)を選んで、これに合ったカードを5枚すべて取って始めますが、先プレイヤーを決めた後に始まる1ラウンドで、取った5枚のカードをすべて使わなければなりません。
各カードには、テーブルの食べ物トークンを取る、相手の食べ物トークンを自分のものにする、相手の食べ物トークンをテーブルに戻す、相手のカード機能をキャンセルする、という4つの機能があります。同時に同じ機能のカードを出しても先プレイヤーから機能が発動するため、自分の機能を使えないこともあります。このようにカードを使いながら中央にセットされた、または相手の食べ物トークンを取れるようになり、食べ物トークンを多く取るほど勝利に近づきます。先プレイヤーカードは各機能カードを使うとすぐに相手に渡ります。
一見すると非常に簡単そうですが、この時、計3回のシークエンス(幕)に分けて使うユニークなルールがゲームを多彩にします。プレイヤーは5枚のカードを各シークエンスごとに1枚、2枚、2枚の順に配分しなければならないので、相手がどのカードを先に配置して使うかを見て、自分の次の手をよく立てなければなりません。そのためシークエンスごとに誰が先に能力が発動するかを決める「先プレイヤー」が変わることにも留意する必要があります。つまり、相手と自分のカードが同じ能力でも先に発動しなければならないなら、自分が先プレイヤーを取った時にそのカードを配置すべきですよね?
5枚のカードをすべて使っても勝者がいなければ、ラウンドが終わります。現在何回目のラウンドが進行中かはラウンドトークンで表示し、5ラウンドがすべて終わった時に相手より多くの食べ物トークンを持っていれば勝利するのがゲームの条件です。しかしゲーム途中でも自分の前に3個の食べ物トークンをすべて取れば勝てます。
03_ゲームプレイ戦略
全体的な印象は簡単な割に、前の2つのゲームよりはルールを理解して活用するのに時間が少し余計にかかります。お互い同じ情報を持ちますが、どのカードをいつ使うかによって本格的な読み合いが始まるからです。
基本的な推論と心理戦はこのゲームで必須です。読み合いが長引きすぎないようにする装置として、カードは5枚しか使えず、機能の種類も4種類しかないため、ゲームがゆっくり流れるというよりスピード感があって良いです。一度プレイしてみると、心理戦の深みをこれだけ短時間に楽しめるよう溶け込ませたボードゲームを見つけるのは絶対に珍しくないという考えになります。もしドゥイットを楽しめた方なら、これよりもっとすごい心理戦ゲームとして「ハナミコジ」という一段階上の心理戦ゲームを楽しんでみることもお勧めします!
04_ビジュアル
主人公はなんとキツネとタヌキ!専門イラスト作家が参加しただけに、可愛い作画と可愛らしいコンポーネントがよく合っています。ゲームとビジュアルがお互いによく溶け込んでいますが、これはインディーゲームの長所をそのまま見せていると思います。作品性だけにひたすら集中できるからです。


韓国のボードゲーム作家とイラスト作家がコラボして発売した心理ゲーム「ドゥ イート (Do Eat)」
Fine.
ダヴィンチ・コード、ゴースト、ドゥイットまで、今日も5年間数千人のお客様と接して反応が最も良かった2人用心理戦ゲームカリキュラムをご紹介しました。詳細なルールはゲーム別の公式ルールブックを各出版社ホームページやコミュニティ(ボードライブ、Boardgamegeek)で探すことをお勧めします。
次回は2人用ゲーム紹介の最後として、戦略を立てて運営するカードゲーム紹介でお会いしましょう。ありがとうございました。

素敵な写真を撮ってくださったユ・ファガラン フォトグラファーに感謝
@siostudio, http://studiosio.co.kr
[連載目次]
2019.01 紹介 2019.02 2人用:抽象戦略 2019.03 2人用:心理戦 2019.04 2人用:カード 2019.05 特別編:ビッグゲーム 2019.06 3〜4人用:配置 2019.07 3〜4人用:推論 2019.08 3〜4人用:カード 2019.09 多人数用:ブラフ 2019.10 多人数用:交渉 2019.11 多人数用:マフィア 2019.12 所懐
