TL;DR

ゲストハウスもホテルも、うまく回る宿には必ず「運営マニュアル」がある。荷物預かりは何時まで無料か、緊急時は誰がどう動くか——基準がなければ現場は混乱する。ホスト向けマニュアルの実例と作り方を、숙소발전소の運営統括が語る。

07. 運営がうまくいく宿には「あれ」がある。

Writer 숙소발전소(宿所発電所)運営統括 CHLOE (https://brunch.co.kr/@merrychloemas)

Editor ONDA ソモラ マネージャー

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숙소발전소(宿所発電所)運営統括 CHLOE

こんにちは。ゲストハウス運営代行と教育を専門とする숙소발전소(宿所発電所)の共同代表であり、運営統括を務めるCHLOE(クロエ)と申します。

私は最初、ゲストハウススタッフとして宿泊業界に足を踏み入れました。その後、フランチャイズゲストハウスの統括マネージャーや、宿泊施設統合予約管理サービスONDAの営業・パートナー支援業務を通じて視野を広げました。そして今は、再びゲストハウス運営に専念し、その世界の中で懸命に働く宿泊施設の運営者でもあります。宿泊施設でさまざまな役割を担ってきた経験と、多様なコンセプトの宿を運営してきた経験をもとに蓄積した運営ノウハウを、多くの方に広く共有したいと思います。

Photo by yi sk on Unsplash

宿をオープンして最も途方に暮れるのは「どう運営すればいいのか」だ。オープン前までがインテリア工事や設備整備など**「ハードウェア」を準備する過程だとすれば、オープン後は顧客をどう応対し、どんなサービスを提供するかなど「ソフトウェア」**を準備し実行する過程の繰り返しとなる。通常、インテリアや設備などのハードウェアは各分野の専門家に依頼して完成させればよい。しかし、空間が完成した後、その空間をどう活用するかは、もっぱら各ホストの責任だ。法的に宿泊業を運営するための遵守事項以外に、宿で起こるさまざまな状況に対する基準を定め、周知し、守らせること——すべてが宿を運営する人の役割である。

もし他の宿を数多く利用したことのあるホストなら、自分の経験をもとに独自の基準を立てようとするだろう。あるいは、何も知らない状態から試行錯誤を重ねながら基準を築いていくかもしれない。その方法は宿ごとに少しずつ異なるだろうが、大半の宿には暗黙のうちに守るべきルールがある。そうした**ルールを細かく整理したものが、まさに「マニュアル」**だ。

ゲストハウス、B&B、ホステル、ホテルなどの宿泊施設で、案内文や告知、Informationと書かれた宿泊利用ガイドを見たことがあるだろう。宿泊者はこのガイドを見て、施設内の設備や備品の使用方法、宿が推奨しない行動への警告文などを確認する。このように大半の宿には、ゲスト向けのマニュアルが用意されている。しかし、ゲストマニュアルだけでなく、宿を運営するホスト側にも「どう運営するのが望ましいか」という基準とマニュアルが必要だ。宿ではつねにさまざまな事態が発生するため、そのたびに迅速に問題を解決する方法があらかじめ用意されていなければならない。たとえばチェックイン前とチェックアウト後に荷物預かりを頼まれた場合、いつからいつまで可能なのか、そのサービスを無料で提供するのか有料にするのか——こうした基準も決めておく必要がある。もちろん、こういうときはこうするのがベターという推奨方法はあるが、こうしなければならないという決まった答えはない。

宿の運営でどの方法を選ぶかは、ホストの選択だ。(出典: pixabay)

宿は費用をもらって「宿泊」という商品/サービスを提供する、れっきとした事業所だ。だからこそ、この商品/サービスを利用する顧客に対し、一定水準以上の満足感を与えなければならない。もちろん、顧客が予約した客室タイプに応じて提供されるハードウェア(設備 例:客室サイズ)とソフトウェア(サービス 例:朝食提供の有無)はすべて異なる。たとえばドミトリーを予約した顧客とファミリールームを予約した顧客が、それぞれ支払った費用に比例して利用できる客室の物理的サイズが変わらざるを得ないように。

ところがゲストハウスでは、客室以外に提供されるサービスはほぼ同一だが、ホテルの状況は大きく異なる。予約金額に応じて客室サイズはもちろん、利用できる付帯施設の範囲や提供されるサービスの範囲が千差万別だからだ。したがって、ある程度規模のある宿を運営するなら、顧客にどの水準、どの範囲のサービスを分けて提供するか、基準を定めるのが望ましい。基本的には客室タイプ、つまり客室料金に応じて提供されるハードウェアが異なるようにするだろうが、それとは別に、すべての顧客に同じように適用されるソフトウェア=サービスについての基準も別途用意しなければならない。

客室を販売する際、2つの料金ポリシーを設定すると仮定しよう。朝食サービスが含まれた客室料金と、朝食が含まれていない客室料金がある。このとき、顧客がチェックインする際、朝食の有無によって案内も変わるべきだ。朝食が含まれた料金を支払って予約した顧客には、朝食サービスの時間と場所など利用方法をすぐに案内すればよい。しかし、朝食なしの料金で予約した顧客には、朝食サービスを利用するために必要な金額と決済方法を別途案内する必要がある。または、朝食についての言及を省いて案内することもできる。どの方法を選ぶかは、各宿の判断次第だ。つまり、このように宿で発生しうるさまざまな状況に備えて「こういう状況にはこう対応する」というマニュアルを定めておくことを推奨する。また、定めたマニュアルはすべてのスタッフに同じように教育し、全員が習得できるよう管理することが必須だ。

マニュアルは、ホストができる限りすべてのゲストに一定水準以上のサービスを継続的に提供できるよう助ける指針書に他ならない。簡単に言えば、あるゲストにはOKで、別のゲストにはNGというバラバラなサービスではなく、いつどんなゲストが来ても似たような体験ができるようにするもの——それがまさにマニュアルだ。

マニュアルは、宿が安定的に運営されるための指針書だ。(出典: pixabay)

やはり宿を運営する主体も人間なので、つねに最高のコンディションを維持するのは簡単ではない。そのため、気分によって同じ問題でも違う判断をしてしまうこともあり、そういうときはゲストに感情的に対応しやすい。しかしゲストは、私たちの宿に費用を支払ってやってくるのだから、つねに宿で歓迎され、きちんと世話をしてもらえることを期待する。だからホストは感情を出さずにゲストに接するべきなのだが、もし型にはまったマニュアルがあれば、ゲスト対応がスムーズになる。このようにコンディションが良くないときも問題だが、むしろ気分が過度に良くて、急にゲストに**予定外のサービスを提供しても問題になりうる。**宿の運営は予測可能な固定費の範囲内でタイトに回っているため、突然予算を超える費用が発生すれば、宿にマイナスの影響を及ぼす。

したがって、宿をうまく運営するには、**自分たちの宿だけの「マニュアル」を準備しておこう。**できればオープン前に作成しておき、プレオープン期間中に顧客から受けたフィードバックをもとに既存のマニュアルを継続的に修正するのが望ましい。そしてすべての宿に共通して適用されるマニュアルもあるが、宿の地域、立地、規模、コンセプトなどによって、自分たちの宿にだけ必要なマニュアルが求められることもある。たとえば、他の宿が送迎を提供するマニュアルを定めているからといって無条件で真似るのではなく、自分たちの宿が送迎が必要な立地なのか、実際に顧客が送迎を必要としているかなどを十分に調査してからマニュアル化しても遅くない。

最も重要なのは、自分たちの宿の顧客が最も必要とするサービスを考え、マニュアル化することだ。もし来訪者の50%以上が女性客なら、女性トイレに男性トイレの2倍のドライヤーを設置したり、女性客には必ずタオルを2枚以上提供するよう準備するなど、宿の状況に合わせてマニュアルを作ればいい。

ところが、宿泊業を初めて運営するホストにとって、マニュアルを作ることが重荷に感じられるかもしれない。当然すべてが初めてなので、参考になる資料が必要だろう。実際、私たちのチームがゲストハウス運営教育とコンサルティングで回った際、最も多く依頼されたのがマニュアルだったほど、ホストには宿をうまく運営するためのガイドラインが必要だ。

このようにマニュアルが必要なホストに参考資料として推薦するなら、韓国観光公社の品質認証制度を挙げたい。韓国観光公社は、観光客増加に伴う観光競争力の強化と管理のため、2017年7月から品質認証制度を施行している。ここにゲストハウスなど宿泊業も含まれているので、必ずしも品質認証を受けなくても、評価項目を参照して運営に活かせば、一定水準以上のサービスを提供し顧客満足度を高められるだろう。

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このように品質認証制度を参考にするのも負担なら、一度「自分がゲストなら、どんな要望があるか?」を考え、それについての質問リストを作ってみよう。そして質問にどう答え対応するかを考えることも、マニュアルの基礎を固める良い方法になる。これまで宿を運営してきて最も問い合わせの多かった質問10個をまとめると、次のようになる。

Q1. 宿までどうやって行けばいいですか?(地下鉄駅、バス停、空港、特定の場所などから)

A. 公共交通機関利用者が多いゲストハウスでは、必ず準備しておくべき回答だ。宿への行き方も重要だが、宿によっては空港やターミナルへの行き方を聞かれることも多いので、よく質問を受けるなら事前に準備しておくとよい。

Q2. 駐車できますか?

A. 家族連れや団体ゲストが利用できる客室があれば、よく受ける質問だ。もし建物内での駐車が不可能なら、宿周辺の駐車可能な場所と費用くらいは事前に調べて案内するとよい。

Q3. 宿にシャンプー、ドライヤー、タオル、歯磨き粉、ヘアアイロン、携帯充電器、冷蔵庫、電子レンジなどはありますか?

A. まず第一に、すべての予約チャネル(Naver、11番街、Booking.com、ティモン、Agoda、Expedia、ヤノルジャ、ヨギオッテなど)に販売情報を入力する際、宿が提供する物品リストを漏れなくきちんと記載することが重要だ。第二に、すべてのスタッフが宿の提供物品をよく覚えておき、電話や対面応対時にすぐ回答できるようにすべきだ。

Q4. チェックイン可能時間が午後10時までとなっていますが、それ以降も入室できますか?

A. チェックイン可能時間は、宿が自由に決められる。通常は午後3時〜4時から夜10時〜11時までがチェックイン可能時間だ。宿によってこの時間外はセルフチェックインを案内したり、定められた時間外は完全にチェックイン不可としている場合もある。もし自分たちの宿がチェックインについて特別な規定を持つなら、予約完了した顧客に対し、できるだけ記録が残る文字またはメールなどを通じて必ず事前に案内する必要がある。

Q5. 3人部屋に1人追加できますか?(2人部屋に生後4ヶ月の赤ちゃんが一緒に寝てもいいですか?)

A. 一つの客室に入室可能な基準人数と最大人数を事前に告知し、追加人員が発生した場合の追加料金はいくらか、事前に決めておくべきだ。乳幼児の場合は無料で宿泊を可能にするか、48ヶ月以上からは大人料金の半額または大人料金と同額の費用を受け取ることもできるので、宿の裁量に従って決める。

Q6. 予約できますか?空き部屋はありますか?

A. 非常に広範な質問なので、質問した顧客に日付、宿泊日数、人数などを尋ね、具体的な予約内容を把握する。その後、この情報をもとに当該予約の可否を確認してから、予約確定のための手順を案内する。

Q7. 料理できますか?客室内で食べ物を食べてもいいですか?

A. 宿にキッチンがあれば、調理可否に応じて案内し、もし利用可能なら、使用後の後片付けについて必ず案内するか、保証金を預かるのも一つの方法になる。また、大半の宿では白色または明るい色のリネンを使用しているため、できるだけ客室内で飲食物を摂取することを禁止するのが望ましいが、もし可能にするなら、リネン汚染についての案内を必ず一緒にすべきだ。

Q8. Wi-Fiのパスワードは何ですか?

A. 外国人ゲストが多い宿なら、絶対的に必要な機能が「Wi-Fi」だ。外国人は韓国のようにデータ無制限をあまり使わず、海外でローミングやSIM準備を難しく感じるため、Wi-Fiの有無が宿を評価し決定する主な基準となる。外国人ゲストが多くなくても、今の時代Wi-Fiは必須なので、定期的に接続に問題がないか確認し、あちこちにIDとパスワードの案内文を貼っておこう。

Q9. 早めにチェックアウトしたいのですが、どうすればいいですか?

A. 客室ごとにカードキーまたは鍵で出入りする場所なら、これをどこに返却するか必ず案内すべきだ。また顧客が早朝チェックアウトする場合、朝食サービスを利用できないこともあるが、これは宿の裁量に応じて別途準備するか、定められた時間外は利用が難しいと事前に案内する方が望ましい。

Q10. 1ヶ月以上宿泊すると割引されますか?

A. 1日の短期宿泊を除き、2泊以上はすべて長期宿泊に区分されるが、これに対する割引を提供するなら、割引の具体的基準と規定を内部で共有し、すべてのスタッフが把握しているべきだ。少なくとも3日から、長ければ6ヶ月以上まで、長期宿泊関連の割引問い合わせは随時来る。特にソウル、釜山など大都市では長期宿泊問い合わせが本当に多いため、必ず事前に規定を準備しておいてほしい。このとき注意すべき点は、長期宿泊を予約チャネルで受け付けるのか、電話問い合わせで受け付けるのかなども事前に基準を決めておく方がよい。


運営がうまくいく宿には「マニュアル」がある。どんな状況でも右往左往せず、迅速かつ正確に対処できるPlan 1、Plan 2が準備されているのだ。だからこそ、顧客がどんな質問をし、どんな要望をしても慌てず、プロフェッショナルな姿勢で応対できる。宿の内部マニュアルは表には見えないが、顧客が十分に体験し感じ取れる部分だ。 よく準備された宿のサービスには、顧客に満足のいく宿泊体験を提供するための思考が込められているはずだ。皆さんもそんな思考を込めて、自分たちの宿だけのマニュアルを作ってみることをお勧めする。まだ宿の運営に対する判断基準が定まらないなら、問題が起きてから対処するより、事前に宿で起こりうるさまざまな状況を想像し、それに対するシミュレーションを通じて少しずつ宿運営の完成度を高めていってほしい。

[連載目次]

(ゲストハウスの人の物語) 01. プロローグ + 私はゲストハウススタッフです。 02. ゲストハウススタッフの一日、密着取材25時間。 03. ゲストハウスにはなぜ「ゲスタッフ」が生まれたのか? 04. ゲストハウスに最も必要なたった一つのもの、人。

(ゲストハウスの運営の物語) 05. ゲストハウスオーナーたちの悩み 06. 世の中には良いゲストハウスもたくさんあるし、悪いゲストハウスもたくさんある。 07. 運営がうまくいく宿には「あれ」がある。 08. ゲストハウススタンダード

(ゲストハウスの創業の物語) 09. ゲストハウスは宿泊業なのか、サービス業なのか、不動産業なのか。 10. ゲストハウス運営者のDNA 11. うまくいく人はうまくいく?うまくいく宿はうまくいく! 12. それでも私はゲストハウスを愛しています。

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