スタッフから統括マネージャー、そしてONDAの営業を経て、再び運営の現場へ。愛憎入り混じる関係だが、ゲストハウスという「修飾語」を捨てられない理由を振り返る。13編のコラムを完結させた著者が辿り着いた答え。
12. それでも私は、ゲストハウスを愛しています。
Writer 숙소발전소 運営統括 CHLOE (https://brunch.co.kr/@merrychloemas)
Editor ONDA ソ・モラ マネージャー


숙소발전소 運営統括 CHLOE
こんにちは。ゲストハウスの運営代行と教育を専門にする「숙소발전소」の共同代表、運営統括のCHLOE(クロエ)と申します。
最初はゲストハウスのスタッフとして宿泊業界に足を踏み入れ、フランチャイズゲストハウスの統括マネージャー、そして宿泊統合予約管理サービスONDAの営業・パートナー支援業務を通じて視野を広げてきました。今はまたゲストハウス運営にフォーカスし、その世界で日々奮闘している、宿の運営者でもあります。宿で様々な役割を経験し、多様なコンセプトの宿を運営してきた経験をもとに蓄えたノウハウを、多くの方と広く共有したいと思っています。

Photo by Florinel Gorgan on Unsplash
私がゲストハウスを諦められない理由
ゲストハウスと私は、最初から「仕事で出会った仲」だった。ゲストハウスを客としてよりもスタッフとして先に経験し、旅先でゲストハウスに泊まった回数より、仕事でゲストハウスに泊まった経験のほうが多い。何であれ、好きなことも仕事になると気持ちが変わると言われる。だが私にとってゲストハウスは最初から仕事であり、それも自分が好きな仕事だったからか、かなり長い間、純粋に好きな気持ちを保つことができた。
ゲストハウスへの純粋な愛情のおかげで、これまで業界で様々な経験ができた。この文章を書いていることも、その一つ。バケットリストの一つに「コツコツ書いて本を出す」があったのだが、マガジンONへのコラム寄稿を通じて書く練習を続け、結局、夢に一歩近づくことができた。すべてがゲストハウスから始まったというだけで、私はゲストハウスを諦めることができない。

約2週間滞在したロシアの家族を見送りながら。ゲストハウスを選んだのは私自身で、その選択に常にベストを尽くしたかった。
実は、誰も私にゲストハウスに関心を持てと背中を押したことはなかった。ゲストハウスへの愛は、他でもない自分自身の選択だった。だから、全力でこの選択に責任を持ちたかった。その気持ちが通じたのか、今では時々誰かに「ゲストハウスを諦めないでほしい」と頼まれることさえある。私という人間の修飾語の一つが「ゲストハウス」になった以上、私はゲストハウスを諦めることができない。
残念ながら時間が経つにつれ、「好きなことが仕事になると嫌いになる法則」は私にも有効で、ゲストハウスへの気持ちはいつしか愛憎へと変わっていた。ゲストハウスの成長期と停滞期をすべて経験し、時にはゲストハウスへの愛情が湧き上がり、時には「ゲ」の字を聞くだけで歯がゆくなるほど嫌になった。それでも、ゲストハウスへの想いは膨らみ続けた。最も長く心を注いだ仕事だったからでもあるが、ただゲストハウスが持つある魅力から抜け出せなかったようだ。
私はいったい、ゲストハウスのどこに魅了されて、こうも諦められないと叫んでいるのか。その疑問に、自分で答えを出すことにした。それで文章を書き始め、その最後が今、この瞬間だ。
昨年12月から今まで計13編の文章を書く間、実は私に様々な変化があった。この文章のおかげで新しい宿を運営することになり、この文章のおかげで新しい分野(宿運営のYouTubeチャンネル開設)に挑戦し、運営の中心から少し離れて客観的に宿運営を考え、整理する時間を持った。こうした変化の中で最も満足できる結果は、なぜ自分がこれほどゲストハウスに愛情を注ぎ、執着までしたのか理解できたことだ。結局、運営に追われて忘れかけていた、ゲストハウスへの初心を取り戻すことができた。
「心の余裕を取り戻す」
私が運営に関わったすべての宿の中でちょうど11軒目、そして委託運営した宿としては7軒目を任された頃、私は深刻なマンネリズムに陥っていた。ゲストハウス運営において革新的な何かを見つけたい、生み出したいと思っても、いつも同じ場所に留まっていたからだ。実際そうならざるを得なかった理由は、新しいアイデアを思いつく心の余裕がなかったせいだ。いつも宿の運営に縛られて休息が不足し、売上と予約率を上げ、それを維持することに血眼になっていた。そうするうちに、自分自身が完全に消えてしまった。
だからゲストハウス関連の考えを少しでも止めようと、強制的に休日を定めて守ろうと努力した。宿のコンディションは運営者のコンディションと同じで、心の余裕が消えると宿の至る所で隙間が増え、かえって苦しくなるだけだったからだ。強制的にでも休まなければ、宿にも穴ばかり増えて回復がより困難になりそうだった。その時から執着に近かった宿への気持ちを手放し、宿を遠くから別の視点で眺め始めた。宿を運営しながら規則的な休息を取るのは、現実的に本当に難しいことだ。それでも休息を取ろうと努力するのが重要だ。だから自分の好きな他のことを通じてリフレッシュの時間を持ち、愛情をもって宿を見つめようと努めた。

再び宿に愛情を持てるようになったのは、新しい空間を訪れたからだ。もちろん最良の方法は、うまく運営されていて評判の良い他の宿を訪問することだったが、時間がない時はカフェ、レストラン、展示などの文化・余暇活動をする空間を訪れることも大きな助けになった。特に、空間の持つ力が重要な場所なら、ジャンルを問わず直接訪問して体験するだけでも、宿の運営にヒントを得ることができた。
こうした経験の良い点は、第一に、新しい場所の空間構成やインテリアなど良い事例を見て学び、自分の宿に適用できること。第二に、サービスを提供する立場から受ける立場になることで、自分の提供するサービスを振り返り、改善・補完する評価が可能になることだ。空間を運営する人なら、できれば類似の宿泊空間を訪問するのが最も良いが、もし別業種であっても、できるだけ頻繁に良い空間を訪れ、楽しさと学びを体験することをおすすめする。
「ゲストハウスへの愛情で試みた様々な活動」
宿運営のマンネリズムから抜け出そうと試みた様々な活動は、再び宿への愛情を取り戻すきっかけとなった。私が最初に試したのは、**「宿運営に関するコンテンツを扱うYouTubeチャンネルの開設」**だった。宿運営関連の情報は、実はオンラインで数回の検索とクリックだけで簡単に見つけられるが、映像コンテンツは多くなかった。特に宿を利用した客のレビューは簡単に検索できる一方、運営者の立場から運営情報を共有するコンテンツは本当に見つけにくかった。
YouTubeチャンネルを開設する前、私たちはオフラインで毎月1回無料の教育会を開いていたが、当時の申込者数からそのコンテンツへの需要を十分確認できた。ただ、オフライン教育は指定された場所と時間のせいで参加が難しい人が多く、それに代わるオンラインコンテンツへの要望が絶えなかった。また、YouTube自体の成長と急激なユーザー増加でも、映像コンテンツの必要性は高まっていた時期だった。
そこでYouTubeに、宿運営で蓄積したノウハウや客観的な情報を分かりやすく整理して伝えるなど、宿に関する映像コンテンツを作って共有した。こうして映像コンテンツを制作するプロセスは、宿運営に関する専門知識を再び習得し、これまでの経験から得た事例を振り返り、宿運営を客観的に眺めるきっかけとなった。

「旅行談」という宿運営コンテンツを扱うYouTubeチャンネルを開設した。
2番目にしたのは、**「共有空間活用の新しい試み」**だった。これまで宿のすべての空間は、客室を予約した客だけのために運営してきた。成功する宿運営の第一条件は宿泊客の満足だったため、何よりも実際に宿泊する客の体験に焦点を合わせた。しかし実際は、多くの宿で共有空間が十分に活用されず、放置されているケースが非常に多く、共有空間を宿泊客だけに限定することは、宿運営にとって様々な脅威となった。
空間は多くの人が訪れるだけで活気づき、さらに多くの人を呼び込む原動力となる。だが当時、宿の共有空間は人々がしばらく通り過ぎる程度の場所で、共有空間が死ぬと宿の雰囲気も沈んでいった。
空間を生かす最も簡単な方法は、空間を使うことだ。しかし最も難しい方法でもある。空間の目的やターゲットが明確でなければ、その空間を訪れる人がいないからだ。通常、宿の共有空間は宿泊客の休息スペース、朝食スペース、情報を得る場所、交流する場所などの目的があるが、こうした目的で利用する人が多くなければ、空間は機能を失ってしまうも同然だった。だから1年のうちきちんと利用される日が多くない共有空間を少しでも有効活用するには、空間運営の目的の変化が必要だった。
その小さな変化とは、共有空間を宿泊客以外の人々も利用できるように変えて運営することだった。通常ホテルには、レストラン、カフェ、宴会場、会議室など宿泊客でない人も利用可能な空間と施設が多い。このようにゲストハウスも、小さいけれど放置された空間を生かし、誰もが利用できる機会を提供してみることが目的だった。

宿の共有空間、屋上を活用した旅行者プログラムを開催。@ムルレ洞

宿の空き空間を活用した試み、「ムルレ屋上プロジェクト」
私たちが運営する宿には、かなり素晴らしい屋上があった。この屋上を1年中洗濯干し場としてだけ利用するにはもったいなくて、そこで屋上を積極的に活用するプログラムを企画することにした。ゲストハウスの屋上で誰もが参加しやすい旅行プログラムを開催し、宿泊客、非宿泊客問わず、誰もが来て楽しめる空間として生まれ変わらせた。実際、この旅行プログラムを進行する間、通りかかった近所の住民が自然に入ってきて一緒にプログラムを楽しむこともあった。これにより、宿の共有空間を多様に活用できる可能性を発見し、陥っていたマンネリズムからも脱出できた。
ゲストハウスの魅力発見、現在進行形
ゲストハウスの共有空間を活用するため、これまで韓国料理作り、シーズンパーティー、ツアー、映画・スポーツ観戦など様々な試みをしたが、この試みを宿独自の特色と言えるほど持続可能にするのは難しかった。しかし少し視点を変えるだけで、空間をより多くの人に開放し体験させることができ、こうした行為が空間自体に活力を吹き込み、運営の原動力を育てることを悟った。ゲストハウスの魅力発見は、現在進行形だ。 だから、まだゲストハウスを諦めるには早い。何より宿運営というキャリアで最大の目標だった「自分の宿を運営する」ことを「まだ」達成していないから、本物のゲストハウスの社長になる日まで、ゲストハウスと一緒に歩んでいこうと思う。
大きな枠で見れば、ゲストハウスは寝床、つまり宿泊サービスを提供する「空間」だ。空間という広い枠組みの中で考えれば、ゲストハウスはまだ試せることが無限にある。 空間は、誰が、そして何で満たすかによって、ずっといたい空間になったり、見捨てられる空間になったりする。
ゲストハウスも空間である以上、同じだ。私はまだゲストハウスをもっといたい空間にする人になりたいし、ゲストハウスに面白い想像を加える試みをしたい。時間の流れに従って多様な宿泊文化が生まれ、消え、変化してきたように、これからも宿泊文化は変わり続けるだろう。10年にも満たない間に国内にゲストハウス、シェアハウス、B&B、コリビングなど、宿泊に関する様々な宿の形態と文化が根付いたように、今後またどんな新しい宿泊形態が生まれるか期待される。次に機会があれば、その時は「新しい形の宿泊文化、新しい形式の宿泊形態」についても書いてみたい。
宿泊文化が多様に変化していく流れの中で、私も生き残っていられることを願いながら、ゲストハウスに関する私の経験と考えについての話を終える。
[連載目次]
(ゲストハウスの人の話) 01. プロローグ + 私はゲストハウススタッフです。 02. ゲストハウススタッフの一日、密着取材25時間。 03. ゲストハウスにはなぜ「ゲスタッフ」が生まれたのか? 04. ゲストハウスに最も必要な一つのこと、人。
(ゲストハウスの運営の話) 05. ゲストハウスオーナーたちの悩み 06. 世の中には良いゲストハウスも多く、悪いゲストハウスも多い。 07. うまくいく宿には「それ」がある**.** 08. ゲストハウススタンダード
(ゲストハウスの創業の話) 09. ゲストハウスは宿泊業か、サービス業か、不動産業か。 10. ゲストハウス運営者のDNA 11. できる人はできる? うまくいく宿はうまくいく! 12. それでも私は、ゲストハウスを愛しています。
