TL;DR

会社員時代、5000万ウォンを元手にソウルでゲストハウスを始めた。保証金・家賃・立地——飲食と違い客室数で売上が決まるこの業態で、不動産選びは致命的だった。何も準備のない状態から、3人で億単位の種銭を組み、最初の物件を探し始めた記録。

Writer ソウル・ダルビット・ゲストハウス チョン・スンホ

Editor ONDA ソモラ マネージャー

ソウル・ダルビット・ゲストハウス 東大門店(本店) 住所:ソウル特別市鍾路区昌信洞329-18 客室タイプ:小型ツイン、小型ダブル、スタンダードツイン 共用施設:リビング・キッチン、屋上ガーデン 周辺観光地:洛山公園、興仁之門、DDP、昌信洞文具玩具市場、東廟ノミの市

ソウル・ダルビット・ゲストハウス DDP店(支店) 住所:ソウル特別市中区奨忠洞2街74 客室タイプ:ダブル、ファミリー(3名、4名、6名) 共用施設:リビング・キッチン、屋上ガーデン 周辺観光地:奨忠体育館、南山、光煕門、清渓川など

ソウル・ダルビット・ゲストハウス SNS ホームページ:http://seouldalbit.com インスタグラム:@seoul_dalbit

07. 胸が高鳴る

— 根拠のない舞い上がりの記憶

house-1353389
house-1353389

生まれて初めて会った人に、出会った初日、5000万ウォンの投資を決めた。

まともな事業計画も具体的なプランもない状態で数千万ウォンの投資を募った側も、投資を決断した側も、3年経った今振り返れば、正直かなりイカれた判断だった。けれど逆に、何も準備されていなかったからこそ、新しい施設を企画してオープンするすべてのプロセスを最初から共にできる、貴重な経験を得るチャンスでもあった。

私、Airbnbを運営していたHくん、そして私のように投資を決めた彼の友人Pくん——この3人でチームを結成した。

こうして私たちは、最初のゲストハウスオープンプロジェクトを始めた。

予算を組む

まず予算の編成から。3人で集めた金額は億単位で、20代後半の社会人駆け出し組が扱う金としては目玉が飛び出るほどの額だった。だがその出どころをよく見れば……あちこちに積み立てていた株式や投資信託、預金を解約して魂まで絞り出した自己資金に、借金まで足した大切な種銭。

ちなみに当時はPくんも私も安定した有名企業に勤めていたから、銀行から低金利でかなりの額を借りられたわけで、今のような自営業者だとあちこち当たって信用保証をつけても、やっとその額が借りられるかどうかのレベルになってしまった。

もしサラリーマンをしながら別のことを考えて事業を始めようとしているなら、しかもかなりの資金を投入する予定なら、会社員のうちにローンを検討するのがあらゆる面で有利だ。(小声で)

宿泊施設オープンに向けた悩み

これで使える弾丸が揃った。弾倉に詰めた弾をどこに撃つか、その資金の使い道を決める前に、新しい店をオープンするための悩みどころが出てきた。

1) どこで始めるか?

2) どれくらいの広さが必要か?

3) どんなコンセプトの空間にするか?

ここ数年「ホットな街」として浮上している——以前のヨンナムドンやキョンリダンギル、ソンスドン、最近ならイクソンドンやウルチロまで——人気エリアを見ると、その地域ならではの個性ある店が消費者に訴求する要素は、上記のなかでも特に3番、空間のコンセプトと構成がもっとも大きく作用しているように思う。空間のインテリアデザインとコンセプト、小物の配置をユニークにして人々の足を向けさせる、といった要素だ。

だが**店を準備する立場からすれば、1)立地と2)不動産の広さのほうがより重要だ。**良い立地に店を構えてこそ客を集められるし、どんな広さの不動産を選ぶかによって保証金や家賃といった核心的なコストが決まるから。

特に宿泊業は飲食業のように客を回転させることもできないし、売上は客室数と客単価で上限が決まってしまうので、どこのどんな不動産を決めるかがその店の収益性を決定づけるクリティカルな要素だ。しかも立地と空間によって店の姿や雰囲気も決まるから、最重要要素であることは間違いない。

こうして新しい店を準備しながら何が必要かを考えるプロセスは、大学で習った経営学の授業とはまるで違った。会社で経験したプロジェクト企画のプロセスとも全然違った。大学ではネット上に転がっている資料をつなぎ合わせた空想だったが、今は実際に自分たちの資金を使って店を出す実戦状況。規模ある企業では少し動けば手に入った資料や情報を、無(ゼロ)から新たに探さなければならなかったからだ。

場所選び

ひとまず、最初の問い**「どこで始めるか?」**に集中した。商売を初めてやる素人は情報力が限られるしかない——では勘だけで突き進むしかなかったのか?そんなことはない。経験上「勘」は、徹底した調査と十分な資料、そして豊富な経験をベースにしてこそ光を放つものだ。

まず、ゲストハウスの主要顧客層である訪韓観光客の行動パターンに関する資料を探して設定した。私たちのような素人にとって実に幸運なことに、韓国の公共データの水準は非常に高い。おかげで統計庁や韓国観光公社などから観光関連の多様なデータを簡単に収集できた。

中でも大きな助けになったのが、韓国観光公社が毎年発表する<外来観光客実態調査報告書>。この報告書は業歴3年目の今も毎年大いに参考にしている資料だ。

観光客が訪れる主要スポット順位、2017年外来観光客実態調査報告書より抜粋

報告書によれば、2014年当時を基準に80%を超える圧倒的多数の観光客がソウルを訪問し、**60%超の観光客が明洞を、半数に達する観光客が東大門市場を、**その他が古宮と南山、南大門市場を訪れている。

そこで私たちは、もっとも多くの訪問客が集中する明洞と東大門エリアを中心に物件探索を始めた。

探索を始めてわずか数日で、良い物件を見つけたと連絡が入った!もし神がいるなら、天が私たちの挑戦を見守って助けてくれているのだという厚かましい考えまで浮かんだ。

今でもその瞬間を覚えている——3年前、2015年初夏のある日。その日だけは会社を定時退勤して東大門へ向かった。東大門駅の出口すぐ前、興仁之門交差点に接した5階建て。**立地は最高だった。**保証金と家賃などの条件も、今振り返っても悪くない条件。

そして何より屋上に上がったとき、興仁之門とマ○○○トホテルが一望できるビューに出くわした瞬間の感動が今も蘇る。ゲストハウスの憧れである屋上の休憩スペース、こんな最高のビューならあらゆる旅人に魅力的だろう。**こここそ私の第2の人生が始まる場所だ!**胸が激しく高鳴った。

この動画リンク(https://youtu.be/XMocY3Mf6C4)は、その建物の屋上から撮影しながら降りてきたもの。声からして舞い上がった気持ちが伝わってこないだろうか?しかも20秒あたりでは出入り口のドアに頭を真正面からぶつけて痛みを抱えた状態なのに、ただただ楽しくて仕方ない。

動画の一部キャプチャ

だが、この建物は私たちの拠点にはなり得なかった。

最高の立地と屋上ビューのせいで早まって舞い上がったが、店をオープンする過程で考えるべき点はあまりにも多かった。

[連載目次]

2019.01 プロローグ 2019.02 目覚める 2019.03 空想する 2019.04 観察する 2019.05 構想する 2019.06 出会い 2019.07 胸が高鳴る 2019.08 息を整える 2019.09 計算 2019.10 さまよう 2019.11 最初の一歩 2019.12 つくられていく 2020.01 グランドオープン 2020.02 エピローグ – 退職プロセスまとめ

マガジンビューアーで全体を見る <<

マガジン定期購読を申し込む <<