初めての物件契約を前に大金が動く。有利な条件を引き出そうと調べたつもりが、後から見ればまだ足りなかった。賃貸借契約書は紛争時の基準であり、事業の土台そのもの。不動産仲介所だけに頼らず、弁護士・建築士に相談すべき理由とは。
10. さまよう
— 何をどうすればいいかわからず右往左往する
Writer ソウル月光ゲストハウス チョン・スンホ
Editor ONDA ソモラ マネージャー


ソウル月光ゲストハウス 東大門店(本店) 住所:ソウル市鍾路区チャンシン洞329-18 客室タイプ:小型ツインルーム、小型ダブルルーム、一般ツインルーム 付帯施設:共用リビングおよびキッチン、屋上庭園 周辺観光地:ナクサン公園、興仁之門、DDP、チャンシン洞文具玩具市場、東廟ノミの市
ソウル月光ゲストハウス DDP店(支店) 住所:ソウル市中区奨忠洞2街74 客室タイプ:ダブルルーム、ファミリールーム(3名、4名、6名) 付帯施設:共用リビングおよびキッチン、屋上庭園 周辺観光地:奨忠体育館、南山、光熙門、清渓川 等
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ついに僕たちの最初の拠点が決まり、賃貸借契約書を作成するため不動産仲介所を訪れた。会社員が簡単には握れない大金がやりとりされる契約。それよりもさらに大きな資金を投じて建物全体に手を入れ、最低5年は商売すると決めた以上、契約時にできるだけ有利な条件を引き出すため、それなりに多方面から調べ、周囲に意見を求めた。
しかし今振り返ればこれもまた不十分だったため、結果的には僕たちに決して有利ではない条項が多かった。賃貸借契約書は、賃貸人(建物主)と賃借人(テナント)の間で万が一紛争や誤解が生じた際の解決基準となり、そんな状況にならなくとも、事業者が拠点を構えて商売をする上で最も重要な契約書だ。商業物件の賃貸借契約を通じて自分の店のオープンを夢見る方々へ、実務的なTipsをいくつか整理してお伝えしよう。
1) 診療は医師に、薬は薬剤師に、法は弁護士に、建築は建築士に。
賃貸借契約時の基準となる商業建物賃貸借保護法は、まず丁寧に読んでおき、重要な条項は別途把握しておくとよい。国家法令情報センター(http://www.law.go.kr/법령/상가건물임대차보호법)に法令全文が公開されているので、保証金回収、対抗力、契約更新請求権、権利金回収など主要部分は読んでおこう。
ただし法令に明記されていない曖昧な部分や実務的な部分の法的助言は、弁護士に求めなければ正確ではない。ネット上に転がっている情報は不正確だったり自分のケースと異なることがあるため、必ず弁護士に相談することをお勧めする。
法律家への相談を非常に難しく遠いものと考えがちだが、最近では電話相談1回5万ウォン以下で提供するウェブベースの法律相談サービスも増え、特に一部の自治体では無料法律相談を提供している。筆者の経験上、これもまた期待以上に非常に丁寧で、類似判例まで探してくれるほど細かい部分まで対応してくれた。管轄地域が違っても法律相談は受けられるので、ぜひ探してみよう。(例:ソウル鍾路区庁無料法律相談ページ http://www.jongno.go.kr/Main.do?menuNo=1800)
一般的な飲食業は該当しないが、もし建物を用途変更したり大きな修繕が必要な場合は建築士に相談しよう。通常、建築士は該当管轄区域の公務員と協力して業務を進めるため、建物が所在する地域の建築士に尋ねるのがよい。
2) 基本マインドセットは、「うまくいけば良し、ダメなら次」。
今出会った建物が自分の構想にぴったり合うように見え、仲介人は今ほかの賃借人候補が列をなしていると急かし、建物主はいつ契約するのかとせっついてくるかもしれないが、絶対に焦ってはいけない。前回の記事でも書いたように、世の中に不動産は多い。あまりに長い時間をかければ本当に契約が流れる可能性もあるが、建物を見るときは最低2〜3週間ほど時間をかけて詳細に検討しよう。
裁判所インターネット登記所で登記簿謄本も取得し、近所の食堂で食事しながらさりげなく評判を聞き、もし特異事項(施設修理が必要だったり、用途変更が必要だったり)があれば事前に十分調査して検討すべきだ。これは基本的に数千万ウォンの金が動き、一度足を踏み入れれば数年間継続する契約だ。うっかり契約してこじれたら、誰もが面倒な状況になる。
3) 契約書に書かれた用語の一つひとつを理解しよう。
賃貸借契約書は大きく、契約書基本フォーマットに記載された条項と特約事項に分かれる。このとき、使用される用語の一つひとつを検討しながら考えるのがよい。可能であれば賃貸借契約書の草案を仲介人から受け取り、数日間検討するのもよい方法だ。
一般的に仲介人は建築主に好意的で、早く契約を成立させなければ仲介手数料をもらえないため、あの手この手で説得してその場で印鑑を押させようとするが、その場で強いのは今現金を握っているあなただ。
賃貸借契約書で通常注意して見るべき部分を整理すると、
▪ 賃貸対象物が明示されているか確認しよう。 住所、面積、使用する階の範囲は正確か? 古い建物の場合、屋上などに増築構造物が付いていることがよくあるが、用途変更などをする際に問題になる可能性がある。
▪ 登記簿謄本は必ず自分でインターネット登記所から取得しよう。 たまに古い謄本を突きつける人もいる。謄本上、根抵当権があれば金額が大きすぎないか確認しよう。また、建物の所有者が複数の場合、紛争が発生したときに非常に複雑になる可能性がある。
▪ 賃貸人に直接会ったか? 可能であれば住民登録番号を隠していても、身分証のコピーで本人確認するのがよい。自分もテナントなのに、賃貸人の印鑑証明書や委任状で成りすまして詐欺を働くケースもある。
▪ 賃貸借目的は特約にも明記しよう。 万が一契約期間前に建物の状態に異常が生じた場合、賃貸借目的での建物使用が不可能であることを立証できれば、建物を賃貸目的通りに使用・収益できないため、賃借人に不利な状況が減る。もちろん契約期間中に使用していて問題が生じるのは別の話。
▪ インテリア工事をする場合、 賃料無償期間を特約に記載するケースがあるが、このときすぐに工事が始められるなら日付を明示してもよい。しかし用途変更をしたり建築主の建物修繕と絡むと、時期がずれる可能性がある。事前に綿密な計画と相談を通じ、有利な時期を明示できるようしっかり計画しよう。
▪ 前賃借人との公共料金精算は通常仲介人がやってくれるが、「保証金残金日」のように公共料金精算期日を明記するのがよい。
▪ その地域の再開発イシューを考慮しよう。 再開発が本格的に進めば、契約を満たせない可能性もある。
▪ たまに一部の建築主が契約の前提条件として特定の書類を作成しようと言ってくることがある。例えば訴え提起前の和解調書があるが、紛争が起こりうる事項について事前に賃貸人・賃借人双方が合意して調書を作成し、裁判所で確認を受けて法的効力を発生させる文書だ。こんなときも同様に、文書草案を確保して相談を受け、十分に検討してから印鑑を押そう。
もちろん、上記の事項はこれまでの経験で学んだことで…僕たちの最初の契約はあんなに綿密でも大胆でもなかった。それなりに一生懸命検討したつもりだったが、不動産仲介所に座って1〜2時間眺める程度では契約書自体をすべて検討できず、振り返れば不足している部分がかなりあった。特に用途変更とインテリア工事を早くできると自信を持ち、X ヶ月後に賃料を払うと決めたのが敗着だった。
とにかく契約書に印鑑を押すやいなや、既存の住宅/近隣生活施設だった建物を観光宿泊施設-ホステルに用途変更するよう建築士に依頼し、用途変更に必要な図面作成のためデザイナーを物色した。同業者の知人、知人の知人、高校の同級生、大学の同期の知人まで、くまなく探した。
最近ではそれでも様々なサービスが生まれ、デザイナー/業者へのアクセスが少し改善されたが、韓国のインテリア市場は情報の非対称性が強く、まともな業者を見つけることが非常に重要であるにもかかわらず、そのプロセスは困難だった。

設計当時提供したレファレンス。主に温かく居心地のよい、親しみやすいイメージを追求した。
紆余曲折の末、あるデザイナーと出会い、僕たちのコンセプトとレファレンスを伝えた。当時デザインに参考となるレファレンスを、Google画像検索、実際に訪れた宿の中で良かったところ、またはソウル市内の良さそうな宿に直接宿泊してみて(!)、最大限収集して渡したが、結果的にはかなり良いデザインが出てきた。
入口、共用スペース、客室など各パートごとに数十枚のレファレンスを渡した後、何度かのミーティングを経て、最初の図面と3D透視図も完成した。僕たちが望んでいた色合いとコンセプトがよく滲み出る雰囲気だった。
さあ! これでデザインができたから、これで工事すればいいよね? ^0^

最初に受け取った3D図面。初めて見たときワクワクした気持ちが3年経った今も鮮明だ。
しかしそれがまさに悲劇の始まりだったとは。まずこんなに大規模な工事をやったことがなかったため、知っている業者も特になく、デザイナーと施工を別々にすることにしたのも悪手だった。皆さんはぜひ、デザインと施工が同時に可能な人を探してほしい。
今度はインテリア施工会社を探すため、あらゆる人脈を総動員した。しかしある程度ポートフォリオのある事務所からすれば、僕たちの工事はそれほど大きくなく、応対は丁寧だったが門前払いを食らった。初心者の哀しみとでも言うべきか。図面の草案はとっくに出ていたのに業者を探しているうちに時間はどんどん遅れ、賃貸借契約書上の最初の月額賃料日がどんどん近づいていた。そしてここで予期せぬ問題が起きる。

実際に出てきた成果物。途中何度か修正があったが、結果的にはよくできた。
それは、僕たちが収益性を考えてテトリスのように詰め込んだ客室配置が、用途変更を進める過程で却下されたこと。深く考えずに配置した客室間の壁の厚さ、廊下の幅など、あちこちで問題があった。図面草案を持って通してみせると豪語した、アマチュアらしい建築士はすぐに解約し、宿泊業方面で場数を踏んだ別の建築士を訪ねた。客室配置、消防、安全、様々な法的部分を検討し始め…
時間はどんどん流れ、賃料日はどんどん近づいてきた。
[連載目次]
2019.01 プロローグ 2019.02 目を覚ます 2019.03 空想する 2019.04 観察する 2019.05 構想する 2019.06 出会い 2019.07 胸が躍る 2019.08 息を整える 2019.09 計算 2019.10 さまよう 2019.11 第一歩を踏み出す 2019.12 作り上げられる 2020.01 グランドオープン 2020.02 エピローグ – 退職プロセス要約