TL;DR

ホテルテックとは何か、そして自社ホテルにどう適用できるのか?

「ホテルテック」登場の意味

こんにちは、ホスピタリティ・テクノロジー企業ONDA(온다)です。このように自社を紹介する際、「ホスピタリティ・テック企業」「ホテルテック企業」という表現をよく使うのですが。

○○テック、△△テックといった用語は、2010年以降ベンチャー業界全般でよく使われています。特に、既存市場に新技術が適用され大きな変化が起きている業界で多用されるのですが、例えばよく知られるフィンテックは金融(Finance)と技術(Technology)の合成語ですし、プロップテックは不動産(Property)と技術(Technology)の合成語です。

既存産業が新しい技術によって大きな革新を遂げながら生まれた造語たちですね。

最近、ホテル・宿泊業界にデジタルトランスフォーメーションが必須要求されるなか、国内でも「ホテルテック」「ホスピタリティ・テック」という用語が徐々に定着しつつあります。

ホテル入口に設置されたキオスク、客室電話に代わるスマートTVやタブレット——これらが外部からホテルテックを体感できる変化といえるでしょう。もちろんこれも重要な変化の一つですが、「ホテルテック」全体からみれば氷山の一角に過ぎません。

人々がカカオバンクやTossをフィンテック企業と呼んでも、様々な銀行アプリを出す既存金融機関を「フィンテック企業」と呼ばないのと同じ理屈です。

表面上はフィンテックアプリに似た複数のアプリがリリースされていますが、実際にログインして使ってみると結局従来の銀行アプリと大差なく、「もう元には戻れない」と思えるほどの体験を与えてくれないからです。

もう元には戻れない体験を与える「○○テック」。これがいわゆる「革新」の基準になるといえます。

で、具体的にどんな技術がホテルテックなのか?

では、ホテルテックとは何で、どうやって自社ホテルに適用できるのでしょうか?

すでに定まった方式でビジネスを行う会社に新しい技術を受け入れさせ、従業員に変化を促すのは非常に困難です。まだ誰も歩いたことのない道を一緒に行こうと説得しなければならないのですから。

さて、まだ見ぬ道を行くとき、最も必要なものは何でしょうか?

人々は遥か昔から「地図」を作り、見知らぬ道への恐怖を克服してきました。 まだ多くの人にとって未知の領域であるホテルテック分野にも、道を探し出そうとする業界従事者のための地図が各所で制作されています。

今回は、米国で発行されたホテルテックレポートの地図を一緒に見ながら、ホテル領域にどんな技術があり、どんな変化が起きているのか確認してみましょう。(*なお下記マップは、あくまで米国・欧州を中心にビジネス展開する企業が対象であり、韓国の現実とは多少異なります。)

(出典:ホテルテックトレンド)
(出典:ホテルテックトレンド)

運営・収益最大化ホテルテック

初めて上記地図をご覧になった方は、企業ロゴが多すぎて目が疲れるかもしれませんが、一つの原理さえ分かれば難なく理解できます。

最上段の運営(Operations)部分を見ると、私たちに馴染みのあるPMS(Property Management System)があります。 ホテル客室を管理する最も基本的なソフトウェアで、客室にゲストがチェックインしたか、また清掃が完了したか等を確認するのが基本機能といえるでしょう。PMS市場シェア1位企業は断然O社ですが、国内では多くのホテルがS社のPMSを使っていると知られています。

この市場にも多くの革新が進んでいます。既存サービスが市場のニーズを十分に反映できず、様々なスタートアップが挑戦しているのです。

特に、社内コンピュータにインストールして運営していた「インストール型PMS」をクラウドコンピューティングSaaS方式に転換することが最大の課題として浮上しています。既存インストール型ソフトウェアはアップデートが遅く、設置費やA/S費用がかかるだけでなく、ホテル人員の非効率な業務を改善するにはSaaS型PMSの方が遥かに有利だからです。

また、既存PMSが提供しない、あるいは専門的な機能が不足しているために登場する新製品・新技術もあります。

ホテリア間の協業効率を高めるサービス(Staff Collaboration Tools)、顧客フィードバックやサーベイのためのサービス(Guest Feedback & Surveys)、客室清掃やホテルに設置された様々なIT機器を管理するサービス(Housekeeping & Engineering)、決済・精算管理サービス(Payment)などが既存ホテル運営の不便を解消しています。このように新技術は、現実に存在する不便を解消する手段として登場する場合が本当に多いですね。

次は収益最大化(Revenue Management)領域です。

過去30余年間、インターネット技術は発展し、ホテル客室を販売できる様々なオンライン販売チャネルであるOTAが登場しました。このとき、無数のオンライン販売チャネルに客室を各々掲載するうちにオーバーブッキング(重複予約)や価格不一致の問題が発生し、これを解決する手段が必要になりました。

一つのサービスで様々な販売チャネルを管理できる**「チャネルマネージャー」**が登場し、ホテルの問題を解決したのです。

当初はオーバーブッキング防止にのみ集中していた技術が、今では販売を最大化する「ブースター」、つまりホテル利益を最大化する方向へ発展しています。

かつて大型ホテルは最適な客室販売価格を顧客に提示するため、高額な外部専門業者からコンサルティングを受けたり、競合他社の客室販売金額データを高額で購入したりしていたといいます。あらゆる情報がインターネットを通じてリアルタイムで公開・収集される今の時代、このような方式で客室価格を測定していたら競合に後れを取らざるを得ないでしょう。

だから多くのRM企業が、ホテル客室価格を自動算出して収益を最大化しようとビジネスに乗り出しているのです。

また、販売チャネルが増えた分、チャネル別販売ポリシーやプロモーションも多様化しました。これに一つひとつ対応するのは大変だという点で、ビジネスインテリジェンス(Business) 分野も最近よく話題になっています。ホテル運営に導入されたAIアシスタントとでも言いましょうか?

国内では英国のO社が多くのホテルと協業しているといいますが、ホテルで大きな責任を担っている方ほど、長期的に見てより多くの関心を持つべき領域だと思います。

マーケティング・顧客体験ホテルテック

インターネットが発達して最も発展した技術の一つに、広告技術(Ad-Tech)を外すわけにはいきません。実際、海外で最大のインターネット企業として挙げられるGoogleやFacebook、そして国内のNAVERも巨大広告企業の一つと見なせるでしょう。

ホテルの広告マーケティング技術にも革新が起きています。 OTA登場以前、多くの顧客は以前と同じように電話やオフラインの旅行代理店を通じてホテルを予約していました。同時にホテル公式サイトに直接アクセスして空室を予約することにも慣れていきましたが、ホテル公式サイトで部屋を選んだ後カレンダーから日付を選んで予約する最も基本となる技術、これをホテルテック領域では**ブッキングエンジン(Booking Engine)**と呼びます。

かつてのブッキングエンジンが単純予約機能のみ提供していたとすれば、最近では私たちONDAのブッキングエンジンのように他のOTAや販売チャネルと連動して重複予約を防ぎ、インベントリーを統合的に管理できるようになっています。

同時に、顧客をブッキングエンジンへ直接誘導する技術も発展してきました。広く複雑なインターネット広告の世界で、ホテルに最適化されたマーケティングを提供するホテル広告技術(AD TECH) 企業や、**ソーシャルメディアでホテルPRに特化したサービス(Social Media Tools)**も登場しています。

そして以前のようにホテルへ直接顧客を誘致するのが難しくなったため、Google Hotelのように自社ホテルのブッキングエンジンを顧客がすぐに見つけて予約**(Direct Booking Tools)**できるよう支援するサービスもあります。

これを通じて自社ウェブサイトに訪れた顧客が離脱しないよう、ライブチャットを行ったり基本的な問い合わせはチャットボットで処理する技術**(Website Livechat / Chatbot)** なども同時に発展しています。

マーケティング分野で最近断然注目されているのがCRM(Customer Relationship Management)です。 最近、国内有名マーケティングニュースレター「OpenAds」で2022年最も人気だった記事2位に選ばれたのが「衰えるパフォーマンスマーケティングと躍進するCRMマーケティング、その理由は?」でした。

この記事からわかるように、個人情報保護規定が強化されて既存オンラインマーケティングの効率が低下し、新規顧客獲得にかかるコストがますます増えています。

苦労して獲得した顧客との関係を強化し、継続的な再訪を促すのがCRMの目標であり、これを支援するサービスがマーケティング分野でどんどん重要になっているわけです。

最後に顧客体験(Guest Experience)領域があります。 インターネット公式サイトなどオンライン顧客接点から、ホテルチェックインブースに取って代わるキオスク(kiosk)、カードキーに代わるキーレス(Key-less)システムなどがこの分野に属します。今では私たちの生活に深く浸透しているホームIoTの概念をホテルに適用した様々なサービスも本当に多いですね。

この分野は最も流行に左右される領域でもありますが、最も慎重にアプローチすべき領域でもあると思います。もし自社ホテルがMZ世代がよく訪れるセレクティブ級ホテルなら、上記のような先端技術をフロントや客室に適用してもいいでしょう。

しかし顧客層の年齢が高いほど、それに合った技術を適用しないと、人件費を削るために顧客に不便を強要する、不便を販売するホテルと認識されかねないのです。

韓国はこれから開かれる新市場

このようにホテルテックマップを一緒に見てきましたが、ホテル分野の革新は国内より米国など海外先進国で先に進みました。すでに20〜30年前から、技術主導のホテル革新に関するカンファレンスが毎年開かれていたほどです。

ONDAの主要経営陣も、コロナ19が一時落ち着いた昨年4月にINTERNATIONAL HOTEL TECHNOLOGY FORUM 2022に参加し、ONDAの技術を披露するとともに、グローバルホテルテック市場の流れを視察してきました。

国内でホスピタリティ・テックをリードするONDAも、グローバル基準では後発走者であるため、この広大なホテルテックのすべてをカバーできていないことがよくわかった時間であり、同時にもっと多くの機会がある市場だとよくわかりました。

では、ホテルはどの分野からデジタルトランスフォーメーションを始めるべきでしょうか?その答えはホテル内部にあります。必ずしも大きな塊のPMSから変える必要はありません。 今、私たちと顧客にとって最も必要な技術は何か、自社開発が困難ならどのテック企業と協業したとき自社の弱点を最小化し長所を最大化できるのか——深く考えるべき時点でしょう。