韓国の宿泊施設で最も揉めやすいのが最低賃金だ。契約書に休憩時間を曖昧に書いただけで差額請求が起きる。ダブル券や販売手当は算入対象なのか。実務で必須の計算ルールを労務士が解説する。
チェ・チャンギュン労務士の宿泊業労務マスター講座
11. 宿泊業の賃金管理(2)
Writer : 労務法人ソチョ チェ・チャンギュン代表(労務士)
Editor : ONDA ソモラ マネージャー
労務法人ソチョは宿泊業の労務管理において最高の専門性を持つ会社として、 現在、多数の宿泊施設の労務管理、宿泊業フランチャイズ本社での講演(ヤノルジャ、ヨギオッテ)など、 宿泊業関係者の幸せな職場づくりに貢献しています。
幸せな職場が幸せな人生をつくるという信念のもと、 大切な職場を共に育てていく人々に 労務管理に不可欠な情報を提供するため、本連載を開始しました。
こんにちは、労務法人ソチョのチェ・チャンギュン労務士です。前回は宿泊業の賃金管理の中で通常賃金と平均賃金について見てきましたが、今日は宿泊業の賃金管理で最も問題になる領域の一つである**「最低賃金」**に関する様々な問題とその解決法をお伝えします。
1. 最低賃金より低く労働契約を結んだら?
最低賃金は用語が示す通り、**「労働者を雇用するなら最低限この水準以上を支払いなさいという強制力を持つ性格の賃金」**です。この最低賃金は_年1回、法で定められた決定手続きを通じて告示_されます。
また最低賃金は時間給を基準に告示されており、2020年現在の最低賃金は8,590ウォンに設定されています。
最低賃金は**最低賃金法第6条により適用が強制されるため、賃金の支払者が従業員と合意して最低賃金に満たない賃金を支払うことにしたとしても、その効力はありません。**このような場合は_最低賃金を基準に従業員が受け取るべき給与を計算し、すでに支払った金額との差額を支払う_必要があります。
第6条(最低賃金の効力)
① 使用者は最低賃金の適用を受ける労働者に最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。 ② 使用者はこの法による最低賃金を理由に従前の賃金水準を下げてはならない。 ③ 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者間の労働契約のうち最低賃金額に満たない金額を賃金と定めた部分は無効とし、この場合無効となった部分はこの法で定めた最低賃金額と同一の賃金を支給することとしたものとみなす。
もちろんこれとは別に、最低賃金額より少ない金額を支給した場合には刑事責任も負わなければなりません(違反時3年以下の懲役または2千万ウォン以下の罰金)。

実際に宿泊事業で最低賃金により問題となる事例を見ると、直接的に最低賃金法に違反する契約を結ぶというより、契約自体が最低賃金法に違反する事項であることを認識できず紛争が発生するケースが大多数です。
労働契約書上に内容を具体的に記載しなかったため、当初約定した休憩時間と実際の休憩時間が異なり最低賃金差額が発生したり、労働契約書に実際の休憩時間より少ない休憩時間を記載する場合が代表的な違反事例と言えます。
それではこの最低賃金をどのように算定すべきでしょうか?
2. 最低賃金はどう算定する?
最低賃金は**「月給与項目のうち最低賃金算入範囲に含まれる賃金合計/月所定労働時間」**の方式で算定されます。
ここで**「最低賃金算入範囲に含まれる賃金」とは_毎月1回以上定期的に支給する賃金_を意味します。算定される最低賃金には毎月支給する賞与金**が一定比率(2020年基準最低月給の20%、359,062ウォン)を超える金額分が含まれ、通貨で支給する福利厚生費(食費、車両維持費など)も一定比率(2020年基準最低月給の5%、89,765ウォン)を超える金額分が含まれます。
「月所定労働時間」は_労働契約上従業員が労働することを約定した時間_を意味します。ここには本来労働することと定めた時間以外に、有給として算定する週休手当が含まれます。ただし所定労働時間以外の労働を意味する延長・夜間・休日労働時間は最低賃金算定のための月所定労働時間から除外されます。
3. 宿泊施設で支給するインセンティブ(ダブル券、販売手当など)は最低賃金に含まれる?
宿泊施設では労働意欲を高めるために特殊な手当を支給する場合がしばしばあります。たとえば同じ客室を2回以上販売した場合に支給する**「ダブル券」や各種物品を販売した場合に支給する「販売手当」、デイユースが発生した場合に支給する「デイユース券」**などがあります。
このような手当(インセンティブ)は最低賃金法で規定する出来高賃金に該当し、最低賃金算入範囲に含まれます(最低賃金法施行令第5条第2項)。

第5条(最低賃金適用のための賃金の換算)
② 出来高による賃金支給制やその他の請負制で定められた賃金は、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合は賃金締切期間をいう。以下この項において同じ)の賃金総額をその賃金算定期間中の総労働時間数で割った金額を時間に対する賃金とする。
4. 現物で支給する客室、食券などは最低賃金に含まれる?
また宿泊施設では従業員に客室を提供したり、食券を提供する場合もあります。このような労働条件は現物で支給されるため最低賃金算入範囲から除外されます。
ただし宿泊費、食費などを月給形式で支給する場合、その部分は福利厚生費として作用するため、先ほど説明した通り、一定金額以上は最低賃金算入範囲に含まれます。
5. 宿泊施設で試用期間を設ければ最低賃金を減額して支給できる?
労働契約期間を1年以上と定めた労働者を対象に3ヶ月以内の試用期間を定めれば、最低賃金の90%が適用されます(最低賃金法施行令第3条)。ただし、_雇用労働部長官が告示した単純労務職種に従事する労働者はここから除外_されます(最低賃金法第2条ただし書き)。

第3条(試用中にある労働者に対する最低賃金額)
第5条第2項本文により1年以上の期間を定めて労働契約を締結し試用中にある労働者として試用を開始した日から3ヶ月以内の者に対しては、同条第1項後段による時間給最低賃金額(最低賃金として定めた金額をいう。以下同じ)から100分の10を差し引いた金額をその労働者の時間給最低賃金額とする。
該当告示によれば、ホテル、宿泊施設清掃員、厨房補助員は単純労務職種に該当し、_試用期間を設定しても最低賃金は減額されません。ただしフロント勤務者、支配人などは_業務性格によって試用期間設定時に最低賃金減額適用が可能な場合があります。
つまり、試用期間を設けても私たちの宿泊施設で勤務する従事者の職種によって最低賃金の減額適用が異なるため、これを必ず確認してください。
以上で宿泊業の賃金管理に関するコラムを終わります。次回は「チェ・チャンギュン労務士の宿泊業労務マスター講座」コラムの最終回である宿泊業退職管理に関する内容でお会いしましょう。ありがとうございました。
宿泊業労務管理お問い合わせ(労務法人ソチョ)
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