宿泊業の労務紛争は退職時に集中する。自己都合・合意解除・解雇・契約満了・定年――5つの退職形態ごとに法的要件が異なり、5人以上事業場では解雇に正当事由が必須。書面不備が後の紛争を招く。
12. 宿泊業の退職管理
Writer 労務法人ソチョ チェ・チャンギュン代表(社労士)
Editor ONDA イ・チェウン マネージャー
こんにちは、労務法人ソチョのチェ・チャンギュン社労士です。宿泊業を運営する際、労務紛争の大半は退職プロセスで発生します。どのような形で退職するかは労務管理において非常に重要な課題です。そこで今回は、**「宿泊施設で従業員が退職する際に必ず知っておくべき事項」**について見ていきます。
1. 従業員退職の種類
退職管理に入る前に、まず従業員が退職する方式を整理する必要があります。退職は、雇用関係が終了する原因がどこにあるかによって、次の5つに分類されます。
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自己都合退職(辞職): 従業員が自発的に雇用関係を終了させること
(例:従業員が「今月いっぱいで退職します」と退職の意思を表明)
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合意解除(退職勧奨): 従業員と使用者が退職に合意し、雇用関係を終了させること
(例:使用者が「今月いっぱいで終了できますか?」と退職を打診し、従業員が「わかりました」と応じて合意退職に至る)
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解雇: 従業員の意思に反して、使用者が一方的に雇用関係を終了させること
(例:使用者が一方的に「今日で最後にしてください」「今月で終わりです」と通告)
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契約期間満了: 契約社員の契約期間が満了し、雇用契約が終了すること
(例:雇用契約書上の契約期間が満了した場合)
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定年退職: 従業員が一定の年齢(2020年基準:満60歳)に達すると雇用関係が終了すること
(例:勤務中に定年満60歳を迎えた場合)
それぞれの退職形態ごとに注意すべき点を順に見ていきましょう。
2. 自己都合退職・合意解除(退職勧奨)の注意点
自己都合退職と合意解除(退職勧奨)については、労働法上の特別な制限はありません。ただし退職後に、自己都合か合意解除かが争点になるケースがあるため、「退職願」「合意解除書」を必ず作成しておく必要があります。

3. 解雇時の注意点
解雇は会社(使用者)が一方的に雇用関係を終了させる行為であり、労働関係法令による強力な制約を受けます。ただし、常時雇用労働者数によって適用される制度が異なります。
常時雇用労働者5人未満の事業場
まず常時雇用労働者が5人未満の事業場では、解雇行為そのものに制限はありませんが、解雇予告制度が適用されます。
∙ 解雇予告制度とは?
使用者が従業員を解雇する際、少なくとも解雇の30日前までに従業員に通知することを義務付ける制度
ただし、継続勤務期間が3カ月未満の場合、天災地変等で事業継続が不可能な場合、従業員が故意に事業に重大な支障を及ぼした場合は例外
常時雇用労働者5人以上の事業場
次に常時雇用労働者が5人以上の事業場では、解雇予告制度が適用されるだけでなく、正当な理由がなければ解雇できません。また解雇時には解雇理由と時期を書面で通知しなければなりません。ここで「正当な理由」とは、社会通念上、雇用関係を継続できないほど重大な事由を意味し、事案ごとに判断が異なるため、事前に専門家との十分な相談が必要です。
解雇通告を受けた従業員は、労働委員会に不当解雇救済申請を提起できます。労働委員会の判定で不当解雇と認定されれば、従業員を原職復帰させ、不当解雇期間中に受け取るはずだった賃金全額を支払わなければなりません。
例えば2020年6月に解雇された従業員が労働委員会に不当解雇救済申請を行い、2020年10月に復職判定を受けた場合、解雇時点から2020年10月まで合計4カ月分の賃金をすべて支給し、復職させなければなりません。
4. 契約期間満了・定年退職時の注意点
契約期間満了の場合、雇用契約書に必ず契約期間が明示されていなければ適用されません。また契約社員を採用してから2年が経過すると正社員とみなされ、契約期間満了時点まで何の通知もないまま契約期間後も従業員を使用すると、同じ内容で雇用契約が更新されるという点にも注意が必要です。

定年退職は、常時雇用労働者10人以上の事業場の場合、就業規則の定年規定と法定定年のうち有利な方が適用される点を理解しておく必要があります。また、定年を超えた従業員を使用した後、定年到来を理由に退職させると、解雇と判断される可能性があります。
5. 従業員退職に関する紛争を減らす方法
退職書類の書面化
前述のように、従業員の退職種類によって注意点が異なるため、宿泊業の退職管理では従業員退職の形態を明確にしておくことが重要です。そして各退職形態に応じて遵守すべき法的手続きがあるかを確認する必要があります。この際、従業員の退職形態を明確にするため、退職願、雇用契約書、解雇通告書など関連書類を準備し、事由が発生した際に書面で作成しておくべきです。
解雇可能性の把握
解雇が不可能な状況で解雇を断行し、大きな問題が発生する宿泊施設経営者も多いです。したがって、従業員の解雇を検討している場合、解雇が可能かどうかを事前に明確に把握することが重要です。特に解雇は常時雇用労働者数によって制限が異なるため、<事業場の常時雇用労働者数>をまず把握する必要があります。もし常時雇用労働者が5人以上の事業場であれば、解雇の正当な理由があるかを専門家との相談を通じて確認することが適切です。
また、解雇が可能な事案だとしても、解雇以外の問題がないか確認する必要があります。例えば**「雇用契約書の未作成、最低賃金違反、不法滞在外国人雇用」などの問題がある場合、解雇が正当であっても、これらの問題に関する追加的な紛争が発生する可能性があります**。したがって、このような場合は最大限解雇を避けることが望ましいと言えます。
今回は宿泊業の退職管理で注意すべき事項について見てきました。ご案内した内容を丁寧に把握し、宿泊事業を安定的に運営されることを願っています。
これまでONDAと共に全12回にわたって連載した<チェ・チャンギュン社労士の宿泊業労務マスター講座>コラムに多大な関心と愛情をお寄せいただき、ありがとうございました。宿泊業を運営される方々が労務管理の悩みを少しでも軽減できる時間となったことを願い、また良い機会に皆様とお会いできることを期待しています。
📖 連載目次
12. 宿泊業退職管理