TL;DR

共同経営は魅力的だが、契約書が曖昧なら紛争の火種になる。土地・技術・経験を持ち寄る宿泊業パートナーシップで、損益分配と脱退条件を明文化しないと何が起きるか。弁護士が語る実務の落とし穴。

04. 宿泊業の共同経営契約で気をつけるべきこと

Writer 弁護士 シン・ユル

Editor ONDA ソモラ マネージャー

シン・ユル法律事務所

シン・ユル法律事務所は現在、京畿・仁川エリアを中心に宿泊業、シェアリングエコノミー分野の専門性を備え、多様な法律サービスを提供しています。

今回のコラムでは、これまでクライアントから寄せられた問い合わせ経験をもとに、宿泊業の開始・運営などにおける大小さまざまな法的争点と解釈を、少しライトに紹介する連載を開始します。

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こんにちは、弁護士のシン・ユルです。Magazine ON読者の皆様、この1ヶ月はいかがお過ごしでしたか? 今回のMagazine ON 11月号コラムでは、宿泊業の共同経営契約における法的注意点について一緒に見ていきたいと思います。

1. 共同経営のメリット・デメリット

何らかの事業を営むにあたり、個人の資金力や能力だけでは事業運営が負担になったり、その規模や領域に限界が生じることもあります。これを克服するため、複数の人が力を合わせて共に事業や営業を営む**「共同経営(パートナーシップ)」**を選択するケースが多くあります。宿泊施設の創業・運営など宿泊産業全般でも、こうした共同経営関係を結ぶことは十分可能ですし、実際にそういった関係にある事業主の方もいらっしゃるでしょう。

共同経営は、一人では運営が難しい事業を複数で力を合わせてうまく進められるというメリットもありますが、一方で2人以上の利害関係が絡むため、事業がうまくいってもいかなくても、共同経営者の間で紛争が発生する余地が常に存在します。

そこで今回は、宿泊業経営においても発生しうる共同経営関係の性質と効力、共同経営契約時に明記すべき事項や作成のコツについて、簡単にではありますが見ていきたいと思います。

2. 共同経営契約における共同出資の意味

ここで共同出資、相互出資するという言葉は、必ずしも出資金だけを意味するわけではありません。

例えばAは他地域に居住しているものの景観の良い地域に土地を保有しており、Bは素晴らしい建物を建てる建築技術を、Cは以前大きな宿泊施設を経営していた経歴を持つ人物だとしましょう。この場合、A、B、Cが一緒にペンションを運営することにし、Aが敷地を提供し、Bがその地上に建物を建て、Cが建築費の一部を負担しながらペンションの経営を担当する役割を担うという形で相互出資する方式で共同経営契約を締結することもできます。

3. 共同経営契約の損益分配方法

私たちが一般的に言う共同経営契約は、2人以上が相互に出資し、共同事業を経営することを約定する民法上の組合契約と見なされます(民法第703条第1項)。これにより、共同経営契約の場合、当事者間に別途の約定がなければ民法上の組合の法理が適用されます。

もちろん組合関係については、

一方、組合に関する民法の規定は任意規定であるため、当事者間に特別な意思表示があれば 民法の規定に優先して当事者間の意思表示に従わなければならないものであり (大法院1980.6.24宣告80다861判決; 1964.12.8宣告64다1340判決参照)

と規定し、組合に関する規定を任意規定と見なしているため、もし当事者間に別途の約定があればそれに従います。

しかし単純な資金の出資だけがある共同経営関係であれば、その権利関係が相対的に単純なため、民法上の組合規定1)だけでも解決が容易です。つまり他の約定がなければ、損益分配を各自が出資した金額の比率に従って分配すれば足ります。そしてこれは脱退組合員に対する清算金などについても同様に適用されます。

ところが前述の例のように、共同経営当事者たちの出資形態が異なる場合、その出資した財の価値を算定し判断するのが容易でなく、これは結局解決が難解な法的紛争につながる懸念も非常に大きいです。

したがって、当事者同士で共同経営関係について明確に約定し、最初からその出資比率を定めるべきです。これにより紛争発生を防止できるだけでなく、実際に紛争が発生した際にも円満な解決基準としてこれを活用できます。

4. 契約書作成のコツ

例のように複数で宿泊業を共同経営することになったら、その契約内容を具体的に定め、これを文書化した契約書を作成することをお勧めします。ところがいざ共同経営契約書を作成しようとする時、果たして契約書にどのような内容をどう書いていけばいいのか分からなかったり、書いたことがなくて途方に暮れる方が多いかと思います。

そんな時、難しく考えすぎず、基本的な契約書作成のコツに従って**契約の目的、権利と義務、終了(期間)**という大きな目次を立て、当事者間の合意内容を丁寧に記述していけば、かなり立派な契約書を完成させることができるでしょう。

複数で宿泊業を共同経営することになったら、その契約内容を具体的に定め、これを文書化した契約書を作成することをお勧めします。(Photo by Nik MacMillan on Unsplash)

a. 契約の目的

契約書を作成する際は、最初に**「契約の目的」**を記述する必要があります。そうすることで、後述する契約当事者の権利、義務などを具体的に整理するのに役立つからです。つまり「契約の目的」は、契約当事者が本契約関係を通じて得ようとするものを特定するプロセスです。

例えば先ほど触れたペンション共同経営の場合、「本契約は、A、B、Cの○○所在○○事業場(Aが提供した敷地とBが建てる建物)ペンション営業時、共同経営関係における権利と義務を定めるためのものである」などと記述するとよいでしょう。このように冒頭で契約の目的を設定すれば、その下に当事者間の契約内容を具体化するのに役立ちます。

もし契約の内容がやや膨大で使用される専門用語が多ければ、**「用語の定義」**を別途行い、契約書の文言を簡素化して理解しやすくするのも良い方法です。

b. 契約当事者間の権利・義務

契約当事者間の権利および義務は、契約書作成の主な内容であり核心に該当する部分です。こうした当事者の権利・義務は、その契約の特性によって具体的な内容が定められるでしょう。

例えば前述の例では、A、B、Cが各自相互に出資した財の価値をどう算定するか、ペンション営業の収益が発生した場合に誰がどれだけ受け取るかが、その権利内容になるでしょう。

もう少し詳しくは、共同経営者間の義務を定めるにあたり、何をどれだけ出資するか、事業進行時に誰がどのような役割を果たすかを当事者間で協議して明記すればよいです。

ここで注意すべき点は、その義務内容を具体的に書くことと同じくらい重要なのが、その義務を怠った時に負うべき不利益を定めることです。もしこれを定めなければ、後日共同経営時に義務を怠った者に具体的な責任を問うプロセスにおいて、それが複雑になる懸念が十分にあるためです。

c. 契約の終了

もし一時的な契約であれば、契約当事者間の権利行使および義務履行で契約関係が完成しますが、共同経営契約のような継続的契約の場合、契約の期間と終了事由など、その契約の終了を定めることも必須事項です。また共同経営関係は組合関係であるため、その脱退清算についても事前に定めておくべきです。そうすることで事業中または事業終了時に起こる混乱を防止し、当事者間の利害関係を大きなトラブルなく整理できます。

ここまで宿泊業共同経営時のメリット・デメリット、損益分配方法および注意すべき事項、契約書作成方法などを見てきました。お伝えした内容をしっかり把握していただき、宿泊業の共同経営において大きな紛争や問題なく円滑な事業を営んでいかれることを願っています。

来月は、賃貸不動産を利用したAirbnb運営において、賃貸契約の終了時に発生する問題について見ていきたいと思います。ありがとうございました。

1) 第711条(損益分配の比率) ①当事者が損益分配の比率を定めなかった時は、各組合員の出資額に比例してこれを定める。

②利益または損失について分配の比率を定めた時は、その比率は利益と損失に共通のものと推定する。

[連載目次]

2019.08 宿泊予約キャンセル時の払い戻し基準

2019.09 未成年者の宿泊施設投宿基準

2019.10 宿泊施設の盗撮犯罪

2019.11 宿泊業共同経営契約時の注意事項

2019.12 賃貸不動産を利用したAirbnb運営:賃貸契約の終了時発生問題

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