TL;DR

退職の種類と解雇手続き

チェ・チャンギュン労務士の宿泊業労務Q&A

10. 宿泊業経営者が知っておくべき従業員退職時の注意点

宿泊業労務Q&A 第10回

Writer : チェ・チャンギュン労務士
Editor : ONDA イ・チェウン マネージャー

労務法人ソチョは宿泊業労務管理における最高の専門性を持つ会社として、 現在、多数の宿泊施設の労務管理、宿泊業フランチャイズ本部講義(ヤノルジャ、ヨギオッテ)など 宿泊業関係者の幸せな職場づくりに貢献しています。

幸せな職場が幸せな人生を作るという信念のもと、 大切な職場を共に育てていく人々に 労務管理に必要不可欠な情報を提供するため、本連載を開始しました。

1. 従業員の退職にも種類があるのですか?

「退職」は日常用語としては従業員が会社を退職する行為そのものを意味しますが、労務管理の観点から見ると独自の区分があります。その理由は、退職理由によって適用される法規定が異なるためです。つまり、労働法で保護すべき退職と当事者間の自律的合意に委ねるべき退職を区別するためです。

したがって、退職管理で最も重要な点は**「従業員の退職が労務管理的にどの種類に該当するか?」**です。もしこのような判断なく退職処理すれば、労働法を遵守せずに退職処理したことになり、以下の事例のような問題が発生する可能性があります。

○○ホテルのフロント従業員Aさんは、普段フロントでスマートフォンをよく使用し、無断外出が多く、運営者Bから指摘を受けていました。そんな中、運営者Bと摩擦が発生し、運営者BはAさんに「今月いっぱいで退職してください」と言います。AさんはわかりましたごめんなさいとAさんは月末まで勤務して退職しました。

運営者BはAさん退職後、何の連絡もなかったため問題ないと思っていましたが、退職から約2ヶ月近く経過した後、「労働委員会」という機関から**「回答書提出要求」**という書類が送られてきます。

運営者Bは何事かと思い労働委員会に電話してみると、AさんがAさんが不当解雇救済申請を提起し、必ず回答書を書面で提出しなければならないとのことでした。運営者BはAさんが間違っていた部分を詳細に記載して労働委員会に提出します。

約1ヶ月後、労働委員会から**「審問会議」が開催予定だという連絡を受けます。運営者Bは審問会議の案内に従って労働委員会に行き、審問会議が行われた後、当日夕方、労働委員会から「不当解雇が認定」**されたという案内を受けます。

その後、運営者Bは解雇日から判定日まで約4ヶ月分の賃金相当額をAさんに支払い、Aさんは再び事業所(ホテル)に**「復職」**することになりました。

上記の事例は、労務管理の観点から退職の種類を知らなかったために発生する典型的な事例です。運営者Bが退職の種類を認識していれば、このような問題は発生しなかったでしょう。

それでは労務管理における退職の種類にはどのようなものがあるのでしょうか?労務管理における退職の種類は、退職の原因がどこにあるかによって次のような種類に区分されます。

1) 自主退職:労働者が自発的意思で労働関係を終了させること (例:労働者が「今月いっぱいで退職します」という形で退職の意思を表明すること)

2) 合意解除(勧奨退職):労働者と使用者が退職について合意して労働関係を終了させること (例:使用者が先に「今月いっぱいで退職していただけますか?」と尋ね、労働者が「わかりました」と答えて退職について合意すること)

3) 解雇:労働者の意思に反して使用者が一方的意思で労働関係を終了させること (例:使用者が一方的に「今日限りで出勤しないでください」「今月いっぱいで退職してください」と退職を通告すること)

4) 契約期間満了:契約社員の契約期間満了により労働契約が終了すること (例:労働契約書上の労働契約期間が満了した場合)

5) 定年退職:労働者が一定年齢に達すると労働関係が終了すること(2023年基準満60歳) (例:勤務中に定年満60歳が到来した場合)

上記5つの種類のうち、**「1) 自主退職」「2) 合意解除(勧奨退職)」は民法が適用されます。つまり当事者間の合意が優先されるため、労働法は適用されません。一方、「3) 解雇」**は労働基準法により、正当な理由のない解雇、書面通知をしない解雇が禁止されます。

また、**「4) 契約期間満了」は期間制法が適用され、総使用期間2年を超える場合は正規職とみなされ、「5) 定年退職」**は高齢者雇用法が適用され、満60歳未満で定年を定めることができません。

このように退職の種類によって適用される法律が異なるため、従業員退職管理時にどの種類の退職なのかをまず把握する必要があります。

2. 労働者数によって退職管理方式が異なりますか?

上記のような退職の種類を認識していれば、運営する事業所にどの規定が適用されるかを把握する必要があります。労働法では常時労働者数によって適用する法規定を異なるものとしており、退職管理も宿泊施設の常時労働者数によって遵守すべき基準と手続きが異なるためです。

常時労働者数は労働基準法の規定に従って2つの基準で判断します。

  • まず、退職事由が発生する日を基準に以前1ヶ月間に総使用する人員(延べ人員)を運営した日数で割って算定します。宿泊業の場合、365日運営するのが一般的なので、カレンダー上の日数をそのまま反映すればよいです。
  • このように算定した常時労働者数が5人以上か未満かに関係なく、1ヶ月間の労働者数が5人以上の日数が2分の1以上であれば、5人以上事業所として適用されます。

> 常時労働者数計算方法を確認する

1) 常時労働者数5人未満の事業所の場合

常時労働者数が5人未満であれば、退職30日前に労働者に事前に通知する解雇予告制度のみが適用され、他の解雇制限規定は適用されません。

解雇予告制度とは? 解雇30日前に労働者に必ず通知する制度

*ただし、労働者の継続勤務期間が3ヶ月未満の場合、天災地変などで事業を継続することが不可能な場合、労働者が故意に事業に甚大な支障をもたらした場合は例外

したがって、5人未満の事業所では、退職させなければならない事由が発生したとき、30日前に予告すれば適法な手続きを遵守したことになります。

⚠️ ただし、運営者が判断する常時労働者数と法律基準による常時労働者数が異なる場合があるため、宿泊施設の常時労働者数が正確に算定されているか確認する必要があります。

2) 常時労働者数5人以上の事業所の場合

もし事業所の常時労働者数が5人以上であれば、解雇予告制度が適用されることはもちろん、解雇の制限(事由、手続き)に関する制約が伴います。

労働基準法では、使用者が労働者を解雇する場合、**「正当な理由」**がなければならないと規定しており、「正当な理由」について大法院は「社会通念上雇用関係を持続できない事由」として、事案に応じて具体的に判断しています。

**⚠️ ただし、この事由は実際の紛争事例では非常に厳格に解釈され、一般的に運営者が考える正当な事由と判断機関で認められる正当な事由には差がある場合が多いです。**例えば、運営者は業務不慣れを解雇事由と考えますが、判断機関ではこれを懲戒事由自体に該当しないものと見ることもあります。したがって、解雇の正当な理由があるかについて専門家の相談を受けることが適切です。

上記のような解雇事由に加えて、労働契約書、就業規則、社内規則などで解雇手続きを規定している場合、手続きを必ず遵守しなければなりません。

また、解雇事由があり社内手続きを遵守したならば、これを必ず書面化して労働者に通知しなければなりません。書面化しない解雇通告は、事由と手続きをすべて遵守していても不当解雇と判断されます。上記の事例でフロント担当従業員Aと運営者Bの事例のようにです。

このように常時労働者数による退職管理方式が異なるため、宿泊施設の常時労働者数を明確に把握し、どの規定を遵守すべきかを把握しておく必要があります。

3. 解雇ではない退職管理方式はありますか?

常時労働者数5人以上の事業所で労働者を解雇する際、上記のように非常に厳格な手続きを経なければなりません。しかし退職の種類は様々なので、解雇ではない退職類型であれば労働法は適用されません。

1) 自主退職と2) 合意解除(勧奨退職)は民法が適用され、退職時期、事由ともに制約はなく、ただし従業員の「同意」が必要です。したがって、従業員との協議がうまくいけば、一方的な通告ではないため円満に労働関係を終了できます。また、この場合、口頭解雇と誤認される可能性があるため、必ず退職事由を書面化することが望ましいです。

これとは異なり、4) 契約期間満了のように契約期間が定められている場合や、5) 定年退職のように法律で定める定年が到来して相互の意思とは関係なく契約が終了する場合もあります。

契約期間満了の場合、運営者と従業員との関係が契約期間が定められた関係でなければなりません。契約期間が定められているかは労働契約書を基準に判断するため、労働契約書に必ず契約期間を明示しなければなりません。また、契約社員でも採用から2年が経過すると正規職とみなされ、契約期間満了時点までに何の通告もなく契約期間以降に労働者を使用すると、同一内容で労働契約が更新される点も留意する必要があります。

定年退職の場合、常時労働者数10人以上の事業所であれば、就業規則の定年規定と法定定年(満60歳)のうち有利な部分が適用されます。また、定年到来後も従業員を使用していて定年到来を理由に退職させると、この場合は解雇と判断される可能性があります。

4. 退職管理における紛争を減らす方法は?

これまでの話をまとめると、宿泊業の退職管理では

  1. 従業員が退職する種類がどの退職類型か

  2. 当事業所に適用される法規定は何か(常時労働者数算定)

  3. 法律の枠内で退職手続きが可能か、代案はどのようなものがあるかを把握し

  4. 必要書類(退職願、労働契約書、解雇通告書など関連書式)を事前に準備しておくことが重要です。


連載を終えて

現在、労働関連法律は観光及び宿泊産業の現実的な労働環境と距離感があるのが事実です。そのため、事前に備えることが重要です。宿泊業労務管理で必須の書類3種である1)労働契約書、2) 給与台帳、3) 給与明細書をきちんと管理し、ぜひ紛争のない職場を作っていただければと思います。

今もどこかで労務管理に苦労されている宿泊業経営者の皆様に大きな力になりたいという言葉を伝え、長文をお読みいただきありがとうございました。

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