ワシントンD.C.郊外、観光地から離れた大学キャンパスの中に建つホテルがある。ケロッグ・カンファレンス・ホテルは一般客より研修・セミナー需要を狙い、立地の弱点を「大学との共生」で補う。

**11. 宿泊施設開発・運営成功事例(4)
大学キャンパス内のホテル、ケロッグ・カンファレンス・ホテル**
文 ポートラック (https://brunch.co.kr/@nicejty0)
大学キャンパス内のホテル、
ケロッグ・カンファレンス・ホテル
前回に続き、今回も注目すべきホテルのケーススタディをお届けします。今日ご紹介するのは、アメリカの首都ワシントンD.C.に位置するホテルです。
ワシントンD.C.はアメリカの歴史と伝統を一望できる象徴的な都市であり、世界中から観光客が絶えることのない場所です。そのおかげか、多様な需要を満たす数多くのホテルが存在しています。
今日ご紹介するホテルは、ワシントンの数あるホテルの中でもユニークな特色を持つ場所です。(ヒルトン、マリオット、シェラトンのようなグローバルブランドホテルは、ワシントン以外の地域でも容易に見つかり、予想可能な施設を備えているため、わざわざ私が記事にしなくても参考になるレファレンスがたくさんあるでしょう)
その場所こそ、**ケロッグ・カンファレンス・ホテル(Kellogg Conference Hotel)**です。
大学キャンパス内に位置する「ケロッグ・カンファレンス・ホテル」
ワシントンD.C.を訪れたことのある方でも、ケロッグ・カンファレンス・ホテルをご存じの方は少ないでしょう。ケロッグ・カンファレンス・ホテルの位置は、ワシントン・ダウンタウンから北東に約5km離れています。しかも近くに有名観光地がなく、やや郊外に位置しているため夜間の治安が不安定で、観光客にはあまり知られていないホテルでもあります。

それでも私がこのホテルに宿泊した理由は、近くにどうしても訪れたい場所があったからです。(ちなみにその場所はユニオンマーケットです。私のブランチに関連記事がありますので、興味のある方はぜひご覧ください。https://brunch.co.kr/@nicejty0/63)
ケロッグ・カンファレンス・ホテルの最大の特徴は、ホテルが大学キャンパス内にあるという点です。それもギャローデット大学(Gallaudet University)の中にです。

滞在中、こんな素敵な

キャンパスを見学できます!
私がホテルを訪れたのは日曜日でした。そのせいかキャンパスはがらんとしていました。アメリカは大学キャンパスの敷地が広大なため、キャンパス内でホテルを見つけるのが容易ではなく迷っていたところ、通りかかった学生が目に留まりました。その学生を呼び止めてホテルの場所を尋ねたのですが、私の英語が拙いせいかよく理解してもらえませんでした。どうにか意思疎通できてたどり着いたホテルの姿は、以下のようなものでした。
ホテルの外観はキャンパス内の他の建物と似ていました。内部インテリアは、一般的なホテルというより企業研修センターに近い印象です。おそらく大学でセミナーやワークショップなどを開催する際、参加者が宿泊できるよう作られた施設なのでしょう。ホテル名に「カンファレンス」がついているのもそのためでしょう。
客室内部はシンプルで清潔でした。

正式名称はケロッグ・カンファレンス「ホテル」ではなく「センター」でした。(www.facebook.com/kelloggconferencehotel)
ケロッグ・カンファレンス・ホテルは、ホテルそのものとしては特色がありません。しかし先述の通り、大学キャンパスをホテルとともに満喫できるという点が、ケロッグ・カンファレンス最大の魅力です。私はキャンパスの雰囲気も味わい、学校施設も見学するついでに、大学の学生食堂で朝食を取ることにして部屋を出ました。
1階ロビーに降りると、学生たちが集まって何かイベントをしていました。ずっとスローガンを叫んでいるようでしたが、まったく聞き取れませんでした。イベントデスクに行ってみて初めて、ギャローデット大学の正体を知りました。ここは聴覚障害者のための学校だったのです。昨日ホテルを探すために出会った学生が私の話を理解できなかった理由も、聴覚障害者だったからだったのです。

私が宿泊したツイン・クイーン・ベッド・ルームです。
さらに調べてみると、ギャローデット大学は世界唯一の聴覚障害者のための総合大学でした。設立は何と1864年、リンカーン大統領が奴隷解放を宣言した時代です。驚くべき歴史を持つ場所でもありました。
ギャローデット大学について知ると、建物内部の構造も違って見えました。音を聞くことができない聴覚障害者が視覚でコミュニケーションしやすいよう、室内外の空間がかなり開放的な構造になっていました。私が立ち寄った学生会館の建物は、外壁がガラス張りで内外から互いを見ることができ、1、2階が吹き抜けの複層構造で別の階からでも顔を合わせることができました。
学生たちはもちろん聴覚障害者で、教職員も半数は聴覚障害者だそうです。ここでは手話が共通言語でした。私はカフェテリアでバーガーと飲み物を買ってテーブルに座りました。周りの学生たちは無言の言葉で数多くの話をやり取りしていました。
大勢の人が活気あふれる空間で、人の話し声がまったく聞こえないという、本当に特別な体験でした。



日程上一日だけの滞在でしたが、ギャローデットの美しいキャンパスと学生たちの姿はしっかりと記憶に刻まれました。次にまたワシントンD.C.を訪れる機会があれば、私は迷わずケロッグ・カンファレンス・ホテルを日程に組み込むでしょう。
宿泊施設を開発する際に最も重要なのはコンセプトです。コンセプトを構築する最も手軽な方法の一つが、周辺環境を積極的に活用することです。
ケロッグ・カンファレンス・ホテルは大学内に位置することで、自然にキャンパスライフを体験できるという明確なコンセプトを持ち、周辺環境をうまく活用していると言えます。これは大学生活を懐かしむ社会人層、そして幼い子供たちに大学キャンパスを見せたい親たちに十分アピールできるポイントです。またホテル側にとっては、集客が難しい平日に客室を埋めることが悩みの種でしょうが、セミナーやワークショップの開催と連携して宿泊客を募集できるという利点もあり、一石二鳥ですね。
以上、ケロッグ・カンファレンス・ホテルに関するお話を終わります。ありがとうございました。
- 写真出典:一部の写真を除き、ほとんどはケロッグ・カンファレンス・ホテルのホームページ(www.kelloggconferencehotel.com)から引用しました。
[連載目次]
2019.01 宿泊施設開発・運営成功事例(4)